水ぼうそうにかかったときのウイルスは、水ぼうそうが治ったあとも身体に潜伏しています。それが過労や免疫機能の低下などによって再活性化されて皮膚で感染したのが、帯状疱疹です。今回は帯状疱疹の治療法についてご紹介します。
どの科を受診する?
帯状疱疹は単純ヘルペスと症状が似ている場合もありますが、異なる病気なので投与される薬の量が異なります。治療が遅れて症状が悪化すると、後遺症である帯状疱疹後神経痛を残す可能性もあるので、疑わしいときは、早めに皮膚科を受診するようにしましょう。
なお、帯状疱疹と単純ヘルペスの違いについては「帯状疱疹ってどんな症状?原因やメカニズムに迫ります!」をご覧になってください。
医療機関で行う治療

帯状疱疹は、主に皮膚の症状から判断できますが、単純ヘルペス、虫さされ、接触皮膚炎などの疾患と区別をするために、ウイルス抗原の検出を行う蛍光抗体法や、血清診断が行われることもあります。
薬物治療
抗ウイルス薬
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが原因となって発症するので、原因となるウイルスが増えるのを防ぎ、神経の炎症を抑えるために抗ウイルス薬が処方されます。発疹などの症状が現れてから早期に使えば、後遺症である帯状疱疹後神経痛を予防する効果もあります。
抗炎症薬
水痘・帯状疱疹ウイルスが増えたことによって起こる痛みを防ぎます。炎症を鎮めて痛みを落ち着かせる効果があります。
抗生物質
発疹が水ぶくれになると、細菌感染を招きやすくなるため、感染を防ぐために、抗生物質が処方されることがあります。
自宅で行うセルフケア

帯状疱疹は、身体の抵抗力によって重症度が変わるので、初期に軽症でも無理をすることで重症化する恐れがあります。医療機関で治療を行いながら、日常生活でも症状の緩和のためにセルフケアを行いましょう。
身体を温める
痛みが強い場合は、身体を温めて血行を良くしましょう。カイロをあてたり、湯たんぽを使ったり、患部を温めることで痛みを和らげます。また、水疱が破れていなければ、入浴も症状の緩和に役立ちます。全身の血流がよくなり、リラックス効果も生まれます。
清潔にする
患部を清潔に保つようにしましょう。入浴は、医師と相談してOKをもらえてからです。水疱が破れていたり、炎症が強ければ、湯船につかることは避けてシャワーで身体を洗い流します。石けんが肌の刺激にならないように、優しく洗うようにしましょう。
入浴することで血行が促され、新陳代謝を高める効果も期待できます。
ストレスを解消する
帯状疱疹は、精神的ストレスや過労がきっかけとなり発症することがあります。症状がひどいときは、無理をせず仕事を休むことも考慮しましょう。無理をしないことが、治療期間の短縮につながるからです。
ストレス解消には、休養をとる、好きな軽い運動をする、家族や友人と食事を楽しむ、などが効果的です。自分に合ったストレス解消法を選びましょう。
お酒はほどほどにする
少量のアルコールはストレス解消に役立ちますが、適量を超えると症状の悪化を招きます。アルコールが血管を拡げて炎症反応を激しくしてしまうからです。
また、大量のアルコールは肝臓で分解されるときに、体力を使ってしまうので、身体の疲労に繋がります。
まとめ
帯状疱疹は、単純ヘルペス、虫さされ、接触皮膚炎などと似た症状を起こすことがあり、これらの疾患と鑑別を要する場合もあります。
治療には薬物(抗ウイルス薬)を投与して、ウイルスの増殖を抑えて痛みを和らげます。帯状疱疹は過労や免疫力の低下が原因となって発症することもあるので、普段からストレスを溜めないように心がけましょう。患部を清潔に保ち、温めることで症状の緩和を目指します。