歯周病と糖尿病、どちらも広く知られている病名です。しかし、この有名な2つの病気に関係性があることはご存知でしたか?今回は歯周病と糖尿病の2つの病気の関係性について説明していきます。

目次

歯周病ってどんな病気?

歯周病という言葉は良く耳にしますが、実際どんな病気なのか確認しておきましょう。歯周病とは歯を支える歯周組織(歯肉や骨など)が徐々に壊されていく病気です。虫歯と違い歯そのものが壊されていくわけではないですし、初期では症状がほとんどありませんので気が付かないまま進行してしまう病気です。病気が進行すると、歯が抜け落ちてしまうこともあります。40歳以上の日本人の約8割の人が歯周病にかかっていると言われており、生活習慣病の1つになっています。

歯周病の原因は?

歯周病の原因はプラークと呼ばれる細菌の塊で1mgの中に10億個もの細菌が棲みついていると言われています。プラークの中は栄養素が豊富で温度も37℃前後と細菌が繁殖するために非常に良い条件が整っています。この細菌の出す毒素によって歯茎が腫れたり、血や膿が出たり、歯の周りの組織を破壊したりします。プラークを取り除くには、正しい歯磨きをする必要があります。プラークが放置されていると、唾液や血液中の無機質成分を吸い取って固まってしまいます。これを歯石といい、歯磨きだけでは取り除けなくなってしまいます。

糖尿病ってどんな病気?

スイーツ

ご飯やパンなどの食べ物の中には糖質が含まれています。これが消化されて吸収されるとブドウ糖になり血液の中に入っていきます。この血液中のブドウ糖は血糖と呼ばれ、血糖はインスリンと呼ばれるホルモンによってエネルギーとなったり、肝臓に貯蔵されたりします。しかしこのインスリンがうまく働かないと血液中の糖が増加し血糖値が高い状態になります。この状態を糖尿病といいます。

2種類の糖尿病

糖尿病はインスリンが生まれつき欠乏している1型糖尿病と生活習慣が原因でインスリンがうまく働かなくなる2型糖尿病があります。糖尿病の初期は自覚症状がなく日常の生活にもほとんど問題がない事から放置されることが多いですが、重症化すると意識が薄れ昏睡に陥ったり、血液中に脂質が増えることで動脈硬化症を起こしたりすることがあります。

歯周病と糖尿病の関係性って?

食事3

一見まったく関係の無さそうなこの2つの病気ですが、生活習慣で引き起こされる病気であることはご理解頂けたかと思います。そして糖尿病は喫煙と共に歯周病の2大危険因子となっています。すなわち糖尿病の患者さんは歯周病になりやすいのです。さらに糖尿病の3大合併症として、腎症網膜症神経症がありますが、歯周病も6番目の合併症として知られています。歯周病をコントロールすることで糖尿病のコントロール状態も改善する可能性があることが言われています。

ではなぜ糖尿病の人は歯周病になりやすいのでしょうか?糖尿病になると体を守る免疫機能の低下が起き、傷の治りが悪くなります。歯周病は前述したように細菌の感染によって引き起こされる病気ですので、糖尿病があると細菌に対する抵抗力が弱く歯周病が進行しやすいのです。その逆の問題もあります。歯周病があると細菌から出された毒素が血管内に入り込み、腫瘍壊死因子α(TNF-α)と呼ばれるたんぱく質の生産を促進します。このたんぱく質が多くなるとインスリンを作りにくくなることが分かっています。このように歯周病と糖尿病は密接な相互関係があるのです。

最後に

この2つの病気はどちらも生活習慣から引き起こされることがほとんどです。バランスの良い食事と十分な睡眠、適度な運動、ストレスを溜めない生活、丁寧な歯みがきなど毎日の生活の仕方を少し見直してみましょう。