日常生活の中で口臭を気にしている人は、かなり多いようです。日本歯科医師会が2016年に行った調査では、20代の3人に1人が自分の口臭を気にしているとの結果になりました。さらに、「自分の口臭が気になった経験がある」と答えた人は、なんと全体の8割にものぼったそうです。

とはいえ上記の調査では、口臭を気にして歯科医院に行った経験がある人は1割未満との結果もあります。ここでは、多くの人が気になる「口臭」について詳しく解説していきます。

目次

口臭には種類がある

口臭には、下記のようにいくつかの種類があります。

生理的口臭

生理的口臭は、誰にでもみられる一般的なものです。特に治療の必要はありません。

起きた直後や空腹時、緊張時などに口臭が出ることがあります。女性の場合、生理中にも口臭が生じやすくなります。これは唾液の分泌が一時的に減り、細菌が増えることで起こるものです。

歯磨きにより細菌を減らしたり、食事や会話によって唾液が分泌されたりすれば、口臭はなくなります。また、心身のコンディションなどにより、発生したりしなかったりします。ストレスを感じていると唾液が減少しやすく、口臭が発生しやすいのです。

※口臭が発生しやすい時間帯

一般的には上記の通り、口臭は早朝に最も強くなり、食後に弱まります。食事の際はきちんと噛み、唾液を十分に分泌させましょう。

また、一部の人では午前中や夕方に口臭が強くなることがあります。この場合は、食間の間食が口臭を減らすのに役立ちます。砂糖が口臭物質を9割以上減らすという研究があるのです。

飲食物や嗜好品による口臭

タマネギやニンニクなど、においの強い食べ物を食べると口臭が発生することがあります。これも一時的なものであるため、特に治療を受ける必要はありません。

病的口臭

なんらかの病気が原因となって起こっている口臭です。上記二つと異なり、病的口臭の場合は原因疾患を治療する必要があります。

原因となる病気は歯科疾患から全身疾患まで様々ですが、そのほとんどは口の中のトラブルによるものです。中でも、舌にたまる舌苔が最大の原因といわれます。

口臭の原因となる全身疾患(例)

口臭の原因となる口腔内トラブル(例)

この中でも、特に原因として多くみられるのが舌苔です。詳しくは「舌からわかる健康状態! たっぷりついた舌苔は異常のシグナル」をご参照ください。

心因性口臭

実際には口臭がないにも関わらず、「自分の口は臭いがする」と思い込んでしまうのが心因性口臭です。自己臭症ともいいます。過度に清潔を好む人に多くみられる症状です。

口臭の原因となる物質って?

上記のように様々な原因で起こる口臭ですが、においの原因となるのはVSC(揮発性硫黄化合物)といわれる物質です。下記のような物質が混ざり合って、独特の悪臭を放ちます。

  • 硫化水素(卵が腐ったような臭い)
  • メチルメルカプタン(野菜が腐ったような臭い)
  • ジメチルサルファイド(ごみのような臭い)

この中でも硫化水素は、火山ガスなどに含まれており、高濃度では人の命を奪うこともある毒ガスです。口臭の濃度であっても、まれに気分が悪くなることがあります。ですから、口臭の症状がみられたら歯科医院に相談してくださいね。

口臭の有無は、どうやって確認する?

口臭は、様々な病気が原因で起こることがあり、また口臭自体も身体に悪影響を及ぼすことを説明してきました。では、口臭の有無を自分でチェックすることはできるのでしょうか。

自分でチェックする方法

自分自身で口臭をチェックする場合、両手の中に息を吐き出して臭いを確認したり、カップに息を吹き込んで蓋をし、一呼吸置いてからその中に臭いを確認したりする方法があります。また、手首を舌で舐め、唾液の臭いをかぐことで確認する方法もあります。

ただし、自分自身の臭いにはいつの間にか慣れてしまうものです。ですから、正確に口臭の有無を判断したい場合、歯科医院で確認するのが一番です。

歯科医院でチェックする方法

歯科医院の中には、半導体ガスセンサーガスクロマトグラフィーといった機械を用いて口の中のVSCを測定しているところがあります。すべての歯科医院にある装置ではないので、受診前に確認されることをおすすめします。
また、歯科医師が口の中の臭いをかいだり、患者の息の臭いをかいだりする官能的測定法も用いられます。

最後に

口臭にはいくつかの種類があり、それにより原因も様々であることを解説してきました。ときどき臭いが生じる生理的口臭であれば治療は必要ありませんが、病気が原因で生じる口臭の場合、適切な治療を受ける必要があります。

また、口臭を予防するためには、定期的に歯科検診を受けて口の中の状態をチェックすることが大切です。