学校や病院、レストラン等での集団食中毒が、時折ニュースに上りますね。腹痛や発熱、状況によっては命にかかわる症状が現れることもあり、「外で食事するのは怖い」「学校の給食が心配…」などと、不安に思う方もいるでしょう。食中毒の原因は細菌やウイルスなどさまざまですが、今回はこの中から「サルモネラ菌」に焦点を当てて、その特徴や症状、予防方法についてご紹介します。ぜひ参考にしてください。
1.サルモネラ菌とは
まず、食中毒はどのような原因で引き起こされるのでしょうか。食中毒の原因は主に「細菌」と「ウイルス」の2つです。大まかに特徴をまとめました。
食中毒の原因 | 特徴 |
細菌 | 6月から9月頃に発生しやすい (気温が高く、細菌が育ちやすい) |
ウイルス | 冬に発生しやすい |
その他 | 随時発生
|
(農林水産省のサイトを参考にいしゃまち編集部作成)
食中毒の代表的な原因菌。動物の体内に生息する
このうち「サルモネラ菌」は、日本で発生する食中毒において、腸炎ビブリオ菌と並ぶ代表的な原因菌です。サルモネラ菌は、ペット、鳥類、は虫類、両生類といった動物の体内に生息しています。特に家畜とされるブタ、ニワトリ、ウシは、常に保菌しています。
乾燥に強く、熱に弱い
「乾燥に強く、熱に弱い」というのが、サルモネラ菌の特徴です。このため、卵、肉、魚などを十分に加熱せずに食べる場合に、食中毒の症状が表れます。
2.サルモネラ菌の潜伏期間食中毒の症状
サルモネラ菌が体内に入ってから、食中毒の症状が出るまでには、一般的に8時間から48時間の潜伏期間があります。しかし最近は摂取の3、4日後に発症する事例も報告されています。
主な症状は、急性胃腸炎です。幼い子どもや高齢の方は、重症化しやすいので、より注意が必要です。気になる症状が見られたら、子どもの場合は小児科、大人は内科を受診しましょう。
サルモネラ菌による食中毒の症状
初期 | 吐き気 嘔吐 |
数時間後 | 腹痛 下痢 (1日数回から数十回、 3、4日続く。 10回以上は重症) 発熱 (38度以上は重症) 頭痛 |
重症の場合 | 意識障害 痙攣 急性脱水症 血便 菌血症 |
3.サルモネラ菌による食中毒を予防するには

それでは、サルモネラ菌による食中毒は、どのように予防すればよいのでしょう。
卵肉魚の生食に要注意!
上でご紹介したように、サルモネラ菌は、動物の体内に生息しているため、卵、肉、魚を生食する際に注意が必要です。幼い子どもや高齢の方など、免疫力が弱っている人がいる場合は、動物性の食品は、できるだけ生ではなく加熱して食べるようにしましょう。
まな板は洗浄、加熱して殺菌を
「生の肉や魚を調理した後のまな板で、野菜を切る」ことで、サルモネラ菌が付着してしまうこともあります。まな板を使い分けたり、使った後によく洗浄し、熱湯消毒することも大切です。
その他の注意点は、次の通りです。
- しっかり手を洗う(ペットなど動物を触った後も、注意して洗う)
- 食材、調理器具、食器は洗って清潔にする
- 食材はしっかり加熱する
- 生もの、調理した料理はすぐに食べる
- すぐに食べない場合は、冷蔵庫等で低温で保管する
- 十分な栄養と睡眠をとる
手洗いをすることや、食材、調理器具を清潔に保つことは、食中毒全般の予防に大切なことですね。サルモネラ菌による食中毒を防ぐためには、これらに加えて、生の卵・肉・魚に注意することに尽きます。普段から栄養や睡眠を十分にとって、健康な状態を保っておくことも、心がけてくださいね。