誰もがかかる可能性のある肺炎は、主にウイルスや細菌が肺に感染して炎症を起こす病気です。
風邪と症状が似ているために勘違いしやすい病気でもあるので、肺炎にかかったときに早期に適切な治療が受けられるように、今回は肺炎の症状や原因について説明します。

目次

肺炎とは

一般的に肺炎とは、細菌やウイルスなどの病原体が肺に入って感染し、肺に炎症が起こる病気をいいます。

多くの病原体は、空気と一緒に身体の中に入ってきます。
通常、人間の身体に備わっている様々な防御機能が病原体をやっつけるのですが、病気にかかっていて体力が落ちているときや、高齢のため体力や免役力が弱っているときなどに肺炎を起こしやすくなります。

平成27年の統計によれば、肺炎は、がん、心臓病に続いて日本人の死亡原因の第3となっている病気です(厚生労働省より)。

風邪にかかっていても、体力のある方では肺炎に発展してしまうことは多くありません。

しかし、例えば風邪やインフルエンザによって喉や気管支が炎症して体力が弱っているとき、免疫の弱る高齢者や慢性疾患を持っている方などが肺炎にかかりやすく治りにくい傾向があるので、予防と早めの治療が重要です。

肺炎を起こすメカニズム

口元に手をあてた少女-写真

人間が呼吸をするときは鼻から空気が入り、喉、気管、気管支を通って肺に入ります。
空気と一緒に細菌やウイルスなどの病原体が入ってくると、鼻毛、鼻とのどの粘膜が大きな粒子を捕まえます。

ここを通り抜けた小さな粒子が気管に入ると、咳をすることによって勢いよく外へ出そうとします。
それでも残ったものは、気管支に生えている線毛(せんもう)という毛が捕まえて、外へ追い出そうとします。

このように、身体には様々な仕組みによって病原体が身体に入るのを防ぐ機能が備わっています。
こういった病原菌を排除する力を免疫といいます。熱やが出ているときは、この免疫が病原体と闘っているのです。

持病やストレス、年齢のために免疫力が落ちているときや炎症が悪化して身体の防御機能を上回った場合などに、病原体が気道を通過して肺に入り込み、肺炎になってしまうというわけです。

肺炎の症状

風邪の症状に加えて、以下のような症状がみられます。

  1. 高熱が続く
  2. が続く
  3. 胸が痛い、息苦しい
  4. 食欲不振
  5. 倦怠感
  6. 悪寒がする
  7. 頭痛
  8. 筋肉痛関節痛

など

このような症状が1週間以上続いた場合、肺炎が疑われます。たいてい38度以上の高熱が出ますが、高齢者の場合は熱が出ないこともあります。

肺炎の特徴は激しい咳です。痰を伴わない乾いた咳が長く続くことが多いのですが、黄色や緑色の痰を伴う湿った咳が出ることもあります。
肺炎を起こす病原体の種類や炎症を起こしている部位によって、症状は少しずつ異なってきます。

炎症が肺を包む胸膜に及ぶと、胸が痛くなったり、血液の中の成分などが染み出して肺と胸壁の間の胸腔の中に水がたまって胸膜炎を生じたりすることがあります。
そのほか、悪化すると血液中の酸素が不足してチアノーゼ(顔や唇が紫色になること)が現れ、呼吸数や脈が早くなることもあります。

肺炎の種類

病室のベッド-写真

感染する環境や病原体によって肺炎はいくつかの種類に分けられます。

病原体による分類

肺炎を起こす主な病原体
細菌性肺炎 肺炎球菌インフルエンザ菌黄色ブドウ球菌などの細菌
非定型肺炎 マイコプラズマ、クラミドフィラなどの微生物
ウイルス性肺炎 インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス水痘ウイルスなどのウイルス

感染する環境による分類

特徴
市中肺炎 日常生活を送っている人が病院、診療所の外で感染して発病する。
風邪やインフルエンザをこじらせた時に多く起こる
院内肺炎 何らかの病気のために病院に入院してから48時間以降に発病する。
気管内挿管で人工呼吸器をつけていたり、
抵抗力が低くなっていたりするときに発病することが多い

その他の肺炎

高齢者に多く起こるのが、誤嚥性(ごえんせい)肺炎です。
年を取るにつれて、咳をすることや、飲み込む運動がうまくできなくなり、誤って唾液や食物が気管に入ってしまうことがあります。それを誤嚥と呼びます。

誤嚥性肺炎とは、細菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎のことをいいます。

まとめ

肺炎は、細菌やウイルスなどが肺に入ったことによって肺に炎症が起きる病気です。
身体の体力や免役力が弱まっているときに、外部から侵入する病原体を排除しきれずに発症します。

主な症状は、発熱、咳、胸の苦しさですが、風邪の症状と似ているので、症状が1週間以上続くときや悪化しているときは内科や呼吸器内科を受診するようにしてください。