9月14日、熊本県の阿蘇山で噴火が発生しました。噴火による影響を受けている地域の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
行楽シーズンということで宿泊施設へのキャンセルが相次ぐなど、経済的な影響も多く見られているようですが、火山灰が健康に与える影響も心配ですよね。火山灰が呼吸器や目に入ったり皮膚についたりすると、様々な症状があらわれることがあります。今回は、火山灰が健康に与える影響と、その予防法をご紹介します。
呼吸器系への影響
火山灰の粒子が、呼吸によって肺の奥深くに入ってしまうことがあります。火山灰粒子は気道を刺激し収縮させることで呼吸を困難にします。また、吸い込んだ粒子を排出しようとして気道内での分泌物が多くなるため、痰も増えます。このため、健康な人でも咳が増加したり胸部に不快感を覚えたりするのです。ぜんそくや気管支炎、肺気腫など、慢性肺疾患の方の場合、発作的な咳やゼーゼーとした呼吸が起こる場合があるので注意してください。
また、火山灰が非常に細かい場合や、灰が結晶性シリカという物質を含んでいる場合は、深刻な肺病を引き起こすことがあります。
目への影響
火山灰のかけらが目に入ると、目に痛みを伴う引っかき傷(角膜剥離)ができたり、結膜炎を起こしたりすることがあります。特にコンタクトレンズをしていると角膜剥離が起こりやすくなってしまいます。
皮膚への影響
- 痛みや腫れ
- かゆみ(引っかき傷からの二次感染にも注意)
症例としてはそれほど多くありませんが、火山灰に触れた皮膚が炎症を起こすことがあります。痛みや腫れ、かゆみを感じて皮膚をひっかくと、傷ができた箇所から菌が入ることがあるので気をつけてください。
その他の影響
このほか、大量の火山灰が降ること以下のような事が起きます。これらは、間接的に健康に影響を与える場合があります。
- 道路に積もる:ブレーキが利きづらくなって交通事故の危険性が高まるだけでなく、道路が通行止めになることで物資の供給が途絶えるおそれがあります。
- 停電が起こる:暖房や冷房が使用できなくなるため、健康に重大な影響を与えることがあります。
- 給水への影響:火山灰によって水が濁ったり、給水装置に影響が出たりすることがあります。有毒になることは少ないと考えられますが、水不足の原因となるかもしれません。
対策方法

むやみに屋外に出ない
特に、肺の慢性疾患を持っている人は外出を控えてください。できるだけ全てのドアと窓を閉め、火山灰が家の中に入るのを防ぎましょう。火山灰の影響を受けないでいるためには、火山灰を浴びないことが一番です。
防じんマスクを着用する
粒子の細かい火山灰が呼吸器に入るのを防ぐためには、普通のマスクでは不十分です。できるだけ、防じんマスクを着用しましょう。特に、火山灰の清掃作業をする人はしっかりとした防じんマスクを常に着用してください。すき間が生じないよう、ぴったりと着用することが大切です。
また、防じんマスクが手元に無い場合、衣類を使って即席の布製マスクを作り、それを濡らして着用すれば、大きめの火山灰粒子を防ぐことができます。
ゴーグルや眼鏡を着用する
火山灰が目に入るのを防ぐためには、ゴーグルが欠かせません。また、目への刺激を防ぐため、普段コンタクトレンズを着用している方は必ず外し、眼鏡を着用してください。
長袖長ズボンを着用する
火山灰による皮膚の炎症を防ぐには、火山灰にできるだけ触れないようにすることが必要です。長袖・長ズボンで肌の露出を防ぎましょう。
子供には特に注意
子供は体が小さいため、できるだけ火山灰を浴びないで済むように周りの大人が配慮してあげてください。例えばできるだけ室内で遊ばせる、火山灰が巻き上がっている時はかけっこなどの激しい遊びをさせない(動きまわることで呼吸が深くなると、粒子がより肺の奥に入ってしまうことになります)、火山灰が深く積もっているところに行かないよう目を配るなどの方法があります。
まとめ
火山灰は、呼吸器・目・皮膚など体のあちこちに様々な影響を及ぼします。マスクやゴーグル、長袖・長ズボンなど、簡単な対策を講じることが、自分や家族など大切な人の健康を守ることに繋がります。正しい知識を身につけて、行動に活かしてください。