抗生物質にも色々と種類があり、症状や病気などによって医師が使い分けています。今回はたくさん存在する抗生物質の中でも、皆さんもよく耳にしたことがある「クラリスロマイシン」について詳しくお伝えしていきたいと思います。

目次

「クラリスロマイシン」ってどんなお薬?

クラリスロマイシンは抗生物質のなかでもマクロライド系に分類される薬で、風邪や中耳炎、またヘリコバクター・ピロリ菌の除菌などにも良く用いられています。

クラリスロマイシンという名前はお薬の一般名で、商品名としては「クラリシッド」「クラリス」として処方されているため、こちらの名前なら知っているという方も多いのではないかと思います。大人だけではなく子供にもよく処方される薬で、錠剤の他にドライシロップも存在します。

「クラリスロマイシン」の効き目は?

マクロライド系に分類されるクラリスロマイシンは、感染症の原因となる細菌のタンパク質合成を阻害して、タンパク質を作らせなくする働きをします。その結果細菌が増殖するのを防ぐことができるのです。

 

具体的な効能効果としては以下のようなものがあげられます。

ヘリコバクター・ピロリは胃の中に生息する菌のことで、胃潰瘍十二指腸潰瘍胃がんの原因になります。上下水道設備が整っている今の日本では感染している人は少なくなりましたが、設備が整っていない時代に生まれた60~70代以降の方は感染している人が多いです。その除菌として用いられる抗生物質の一つがクラリスロマイシンで、7日間飲み続ける必要があります。

「クラリスロマイシン」の少量長期療法

クラリスロマイシンは成人として1日400mg投与されるのが一般的であり、数日~一週間程度で投与が終了されることが多いです。

けれども慢性副鼻腔炎等に効果的とされているのが「クラリスロマイシンの少量長期療法」であり、1日200mgのクラリシッドを2~3ヶ月程度のみ続けるという珍しい治療法もあります。

抗生物質を長期間飲むことに不安を持たれる方も多いですが、少量投与なため重篤な副作用も少なく、安心して服用することができます。抗生物質が長期間処方されてもびっくりしないようにしましょう。

「クラリスロマイシン」の副作用

胃をおさえる-写真

クラリスロマイシンの副作用としてよくあらわれるのは下痢・腹痛などの消化器症状です。これは抗菌作用による腸内細菌の抑制によるもので、腸の中の細菌のバランスが崩れたことによって下痢などがおこりやすくなります。

市販の整腸剤などで対応しようという方もいらっしゃるかもしれませんが、市販の整腸剤だと抗生物質に負けてしまい、効果があらわれにくいです。

そのため普段からおなかが弱い方や、今まで抗生物質によって下痢を起こしたことのある方は、医師に言って抗生物質に耐性のある整腸剤を一緒に処方してもらうようにしましょう。

またその他の副作用としては、肝機能障害・腎機能障害発疹味覚異常などがあげられます。

「クラリスロマイシン」の正しい服用方法

抗生物質は飲み切ることが重要となっていますので、クラリスロマイシンももちろん飲み切りが原則とされています。

中途半端に辞めてしまうと、耐性菌が出現してお薬が効かなくなってしまう事があります。

そのため症状を抑える薬(咳止めや解熱剤など)は症状さえおさまれば服用は中止しても良いですが、抗生物質は処方された日数きっちり服用するようにしましょう。

 

またクラリスロマイシンは苦い成分ですので、錠剤で処方されたときは噛まずに飲み込むようにしましょう。

子供さん等ではドライシロップで処方されることが多いと思いますが、ドライシロップはイチゴ味や甘いコーティングが施されており、最初は甘く感じるものの徐々に苦みが出ることがあります。そのため水などに溶かした後はすぐに服用するとよいでしょう。

またオレンジジュースやスポーツドリンク、ヨーグルトなどの酸性飲料やムコダイン(たんきりの薬)やアスベリン(咳止めの薬)などの酸性の薬剤と一緒に服用すると苦みが出やすくなるため、避けるようにしましょう。

まとめ

大人から子供まで幅広く使われている「クラリスロマイシン」ですが、色々な使い方が存在しています。何故抗生物質が処方されているのか、その理由を考えてしっかり飲み切るよう意識してください。また下痢になりやすい方は事前に医師に相談してください。

もし医師に相談できなければ処方箋を持って行った薬局で相談してください。医師に相談して整腸剤を追加で処方してくれるかもしれません。飲み切れるように工夫しながら服用を続けるようにしましょう。