発熱と下痢が同時に出たとき、一番気を付けなければいけないことはなんでしょうか?
症状を落ち着かせるために薬は飲んでもいいのでしょうか?
発熱も下痢も身近な病気ですが、大きな病気が隠れていることもあります。
今回は、発熱と下痢が同時に出た場合に覚えておきたい対処法についてご紹介していきます。
基本的な対処法
最も重要なのは水分摂取
発熱では大量に汗をかくため、身体の水分が失われます。
また、下痢では本来の腸の働きである水分吸収が適切に行われなくなることで、身体に必要な水分を失ってしまいます。
さらに、私たちは普段食事や飲水によって2Lほどの水分を摂取していますが、これらのような体調不良のために食欲が低下してしまうと、脱水状態になり、さらに症状を悪化させる原因になります。
脱水症状になると、めまい・ふらつき、頭痛や悪心のほか、重症の場合は意識障害やけいれんを引き起こすことがあります。
加えて、全身の臓器の血流が減ることで臓器不全を起こしてしまうこともあります。
水、お茶ではなくスポーツドリンクを
脱水状態を防ぐために、発熱や下痢があるとき、特に発熱と下痢が同時に起こっているような場合は特に水分摂取を意識しましょう。
このとき、水やお茶ではなく、スポーツドリンクなど栄養のあるものを選ぶようにしてください。
血液の中には栄養の他、ナトリウムやカリウムなど電解質と呼ばれる成分が含まれています。
これらは筋肉を収縮させたり、神経の伝達を手伝ったり、生きていく上で非常に重要な働きをしています。
発熱による汗や下痢では、これらの電解質も一緒に失われるため、これを補充するためには水やお茶ではなくスポーツドリンクが適しています。
冷たいものを飲むと腸を刺激して下痢を悪化させてしまうので、スポーツドリンクはぬるめのものを用意してください。
薬は飲まない方がいい?

下痢止めの場合
「下痢は薬で止めてはいけない」というのを耳にしたことのある方も多いかと思います。
実際、下痢には身体に溜めておいてはいけないものを排泄する役割もあるため、食中毒や細菌感染などの場合は、下痢は止めない方がいいといわれています。
ただし、そうでない場合には下痢止めも必要です。
下痢では身体的にも精神的にも苦痛が生じ、体力も奪われ、脱水を引き起こす可能性もあります。
さきほども述べましたが、発熱でも下痢でも怖いのは脱水です。
通常、食中毒や細菌感染による下痢は数日間、長くても1週間ほどで治まるものなので、初めのうちは水分摂取を心掛け、整腸剤を服用して様子をみます。
数日以上続くようであれば、受診することをおすすめします。
解熱薬の場合
平熱は人それぞれに異なるものなので、「何度以上になったら解熱剤を飲むべきである」と定義することはできません。
子供の場合は本人が元気であれば解熱剤は必要ないと考えられます。
大人の場合、38度程度の発熱が生じたら解熱薬を使用します。
ただし、高熱の原因には何らかの感染症がみられることも多く、抗生剤の服用が必要になることも多いです。
38度の発熱と下痢の症状がみられた場合、自己判断で解熱剤を飲むのではなく、必ず受診してください。
発熱は、感染から身体を守るための働きを持つ一方、身体になんらかの変化が起こった結果として生じるものの一つです。
このため、解熱薬を使って熱を下げることにこだわるのではなく、元の病気を見つけて正しい治療を行うことが必要であることを理解しておきましょう。
速やかに受診を
発熱も下痢も誰もが経験したことのある症状で、数日で治るものと思い込んでいる方も多いかもしれません。
しかし、慣れているはずの発熱、下痢でも専門家の治療が必要なものも珍しくありません。
日本臨床内科医会では、以下のような下痢の場合は内科への受診を勧めています。
- 便に血が混ざっている
- 下痢以外に吐き気や嘔吐、発熱もある
- 症状が悪化している、改善する気配がない
- 家族に同じ症状の人がいる
- 尿が少ない、口が渇くなど脱水症状がある
下痢と発熱が同時にある場合、脱水の危険があることや、大きな病気が隠れていることもあり、病院に受診するべき症状の一つとなっています。
発熱と下痢が同時に現れる原因は、感染性胃腸炎の他、甲状腺の病気、全身の免疫に関わる病気など様々です。
治療のためには、発熱、下痢という症状だけにとらわれず、これらの症状を引き起こしている原因を解明する必要があります。
医師に伝えるべき項目
医療機関にかかる際は、以下の項目を医師に伝えると診察がスムーズに進みます。
- いつから発熱、下痢が始まったのか
- それに対して市販薬や漢方薬などを飲んだか
- 食事や水分は摂れているか
- 頭痛、動悸、腹痛、発熱など、下痢以外に症状はあるか
- 変わったものを食べていないか
- 周りに同様の症状の者がいないか
- 海外渡航歴
- ペットを飼っているか
まとめ
発熱と下痢が同時にみられるとき、最も注意が必要なのは脱水です。
症状を悪化させないために、しっかりと水分補給をしましょう。
このとき、水やお茶ではなく、スポーツドリンクなどの電解質(ミネラル)が含まれているものを選んでください。
発熱も下痢も身近な病気ではありますが、全身の病気が隠れている場合もありますので、すぐに治るだろうと我慢せず、医療機関を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。