発熱が続いているけれど、37度台の微熱…。こうしたときには、病院を受診すべきか迷うこともあると思います。
「微熱がどのくらい続いているのか」、「微熱以外にどのような症状があるのか」などによってその対処は異なります。
本記事では、微熱が続いているときの病院受診の判断や、自宅でできる対処法について解説します。
微熱の原因は?
風邪や胃腸炎などの感染症や炎症性の病気のほか、がんやアレルギー反応、ホルモン異常など多くの病気で発熱の症状が見られます。病気によっては高熱となる場合もありますが、発熱には個人差があり、微熱で経過する人もいます。
また、ストレスによって起こる心因的な微熱や、女性の場合は生理周期や妊娠、更年期障害による体温の変化もあります。
微熱が続く原因と病気についてはこちらの記事「微熱が続くのは病気のサイン?考えられる3つの原因って」をご参照ください。
微熱のときの病院受診の判断は?
微熱がどのくらい続いているか
風邪などの感染症の場合、身体に入ったウイルスに対する防御反応として発熱が起こりますが、この反応はおよそ3日程度で治まります。
これを目安に、1週間以上微熱が続く場合には病院を受診し検査を受けましょう。
微熱以外の自覚症状があるか
感染症などの病気の場合は、微熱だけでなく病気に伴う自覚症状が現れます。
疑われる病気と自覚症状の一例
- 呼吸器感染症(風邪、インフルエンザ、肺炎):強い咳や喉の痛み、呼吸困難感など
- 尿路感染症(腎盂腎炎など):排尿時の痛み、残尿感、頻尿など
- 感染性胃腸炎(ノロウイルスなど):嘔吐、下痢、腹痛など
- 肝炎:全身倦怠感、食欲不振など
これらの症状が見られる場合は、微熱であっても病院を受診しましょう。
また、自覚症状が悪化していく場合や、微熱が高熱(38℃以上)になった場合は、早めに受診しましょう。
高齢者、持病のある人は要注意
高齢者の場合、体温調節機能が低下しており病気になっても発熱しにくい傾向があります。
また、自覚症状も典型的な症状が現れにくく、「なんとなく元気がない」「機嫌が悪い」「寝てばかりいる」「おかしなことを言う」などの症状が病気のサインであることも少なくありません。
また、慢性的な腰痛や頭痛などで習慣的に痛み止めを服用している人の中には、その効果によって発熱しにくい状態になっている人がいます。
こうした微熱の経過が分かりにくい人のほか、糖尿病や心臓病、腎臓病などの持病がある人は、重症化しやすく注意が必要です。
高齢者や持病のある人は、微熱であっても早めに病院(かかりつけがある場合は主治医)を受診しましょう。
女性の場合は生理との関連に注意
排卵後から次の生理までは黄体ホルモンが活性化し、その影響によって体温が上昇します。
通常は生理の開始とともに解熱するため、その時期までは様子を見ても良いでしょう。
しかし開始予定日になっても生理がない場合は妊娠の可能性があります。
自宅で様子を見る場合の注意点
元来健康で体力もある人であれば、上記の自覚症状を見ながら自宅で経過を見ることも可能です。以下の点を注意しながら経過を見ましょう。
市販薬を服用する
市販の解熱鎮痛剤には解熱効果と鎮痛効果があるので、微熱に伴う頭痛や筋肉痛を和らげる効果があります。しかしこうした自覚症状がない場合には、必ずしも薬で解熱する必要はありません。またかぜ症状(鼻水、鼻づまり、喉の痛みなど)がある場合は総合感冒薬(かぜの諸症状を緩和する総合かぜ薬)で経過を見ても良いでしょう。
いずれも用法や用量を守って正しく服用し、症状が改善しない場合は早めに病院を受診しましょう。
解熱鎮痛剤が効かない心因性発熱とは?
一般的な発熱は、炎症性サイトカインやプロスタグランディンE2という発熱物質が原因となって起こります。しかし、ストレスが原因で起こる心因性の微熱では、これらの発熱物質は関与していないため、一般的に解熱剤が効かないのです。薬を飲んでも効果が見られない場合は服薬を中止し、経過を見て病院を受診しましょう。
病院を受診する場合は

1週間から10日以上微熱が続く場合には病院を受診しましょう。
発熱を伴う病気はとても多くありますが、総合的な診察と検査を行う一般内科、または症状に応じて呼吸器内科や消化器内科への受診が適切でしょう。
病院では、血液検査により細菌感染や炎症の有無を調べ、症状に応じてレントゲン検査や尿検査を行います。一般的な感染症であれば、おおむねこれらの検査で診断がつきますが、精密検査を要する場合(膠原病、悪性腫瘍、AIDSなどの疑い)もあります。
女性の場合は、病院でも必ず妊娠の可能性を尋ねられます。最終月経日を把握しておきましょう。
病院で「異常なし」と言われたら…
病院での検査で異常がない場合、本来なら「異常なし」として安心すべきですが、それでも微熱が持続する場合は不安が残ります。
内科では感染症やがんなどの器質的疾患がないことを確認できますが、慢性疲労症候群などストレスに起因した心因性の発熱の診断には至らないことがあります。
この場合は、内科の結果をもとに心療内科などを紹介してもらうことも必要です。
心因性発熱と診断されたら

心因性の発熱が見られるときには、ほかのストレス性疾患同様、無理をせずに休息をとることが必要です。自律神経のバランスを整えるよう以下の生活を心掛けましょう。
- その日にすることの優先順位を決めて、全てをやろうとしない
- こまめに休憩する
- 休息するときは、体を横にして目を閉じる
- この時期に心身を鍛えようとは考えないこと!
(引用:九州大学病院 心療内科|心因性発熱(ストレス性高体温症)について)
まとめ
微熱が持続する場合には、持続期間やその他の症状などを踏まえ、原則として1週間~10日を目安に病院を受診しましょう。自宅で経過を見る場合にも、症状の変化には充分に注意が必要です。また、明らかな器質的な疾患がない場合は、心因性の発熱の場合もありますが、これらの診断には医師の診察が必要です。自己判断で対処しないようにしましょう。