お腹が痛くなったり、咳が出たり、顔が青白くなったり…。病気にかかっているときには様々な症状が現れてきます。その中に手が赤いように感じる「手掌紅斑(しゅしょうこうはん)」という症状があります。今回はくも状血管腫や手掌紅斑が見られるときに疑われる病気について紹介していきます。

目次

手掌紅斑とは?

掌(てのひら)、その指に赤いまだら模様が現れてくる症状です。特徴としては、赤い箇所を圧迫すると模様が消え、力を緩めると再び現れてきます。

手掌紅斑が出た時に疑われる病気は?

生々しい肝臓
手掌紅斑が出たときはまず肝硬変を疑います。また肝硬変になる前の段階である慢性肝炎、関節リウマチなどの自己免疫性疾患慢性的に熱が出る疾患でもみられる場合があります。そのほか病気ではありませんが、女性の場合は妊娠している可能性もあります。

肝硬変

肝硬変は、肝臓の細胞が破壊されて線維化硬く縮んだ状態です。肝臓の表面全体には組織を再生しようとした跡が見られ、岩のようなゴツゴツとした形状をしています。

肝硬変になると肝臓の機能低下が起こり、肝臓への血液の流れが悪くなってシャント(新しい血管の通り道)が身体の至る所にできます。すると、肝機能低下による症状とともに、シャントができることによる症状も出てきます。進行すると肝がんを発症するリスクが高くなります。

肝硬変でみられる症状は手掌紅斑のほか、浮腫(身体のむくみ)腹水黄疸出血傾向(出血しやすくなる)女性化乳房(女性ホルモンのエストロゲンが肝臓で分解されにくくなり、男性の乳房が膨らむ)くも状血管腫(毛細血管の拡張によって、胸や首、頬に赤い斑点が出てくる症状)があります。

肝硬変の原因は肝炎ウイルスへの感染や、アルコール、薬物などが挙げられます。肝硬変の中でも手掌紅斑がよくみられるのはアルコール性、次いでウイルス性です。

自己免疫疾患

免疫反応は本来なら体内に侵入してきた細菌などを倒すために働きます。自己免疫疾患ではその免疫反応が誤って体内に備わっている機能を攻撃してしまうことで発症する疾患です。

全身に炎症や変性が見られる病気で、関節リウマチや、全身性エリテマトーデス皮膚筋炎などがあります。これらの病気に現れる皮膚症状の一つに手掌紅斑があります。

関節リウマチ

手足を中心に関節が破壊されていき、関節の腫れこわばり痛みなどがみられる病気です。進行すると関節や骨の変形を生じます。

悪化した場合は全身の血管や臓器に障害を伴います。発熱やだるさ、食欲不振のほか、手掌紅斑がみられる場合もあります。

全身性エリテマトーデス

女性に多くみられます。頬に出る赤い斑点(蝶形紅斑、ちょうけいこうはん)や関節の痛み、発熱やだるさ、口内炎や脱毛など全身に症状が現れるのが特徴的です。手掌紅斑がみられる場合もあります。

皮膚筋炎

皮膚と筋肉に炎症性の症状がみられる病気です。筋肉の症状では、体幹や手足のつけ根に近い部分、喉や口の筋肉の筋力低下筋肉の痛みがみられます。皮膚症状では、まぶたの辺りにむくみを伴ったような赤紫色の斑点や、手指の関節に赤紫色の平べったい発疹背中や腕が茶色っぽくなり、皮膚の萎縮がみられるのが特徴です。

関節痛や発熱、間質性肺炎、不整脈、心不全などの全身症状がみられることもあります。

まとめ

手が赤くなる症状が現れたときは、圧迫してみて消えるか確認してみましょう。消えても圧迫を止めて再び赤くなったら手掌紅斑です。手掌紅斑は肝硬変など肝臓の病気が最も疑われます。肝硬変は他にも腹水や黄疸など多彩な症状が出るため、該当する症状に気づいた場合は病院を受診しましょう。