多くの人が悩んでいる、足や顔、身体のむくみ。足などの局所的な症状が少し気になる程度であれば、着圧ソックスや足裏シートなどの解消法がありますが、全身にむくみがある場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。この記事では、むくみの原因と考えられる病気について解説していきます。
むくみ(浮腫)とは?
人の体重は、約6割が水分です。水分は、細胞の内側と外側に分かれます。
むくみは、血管内の水分(血漿)が血管外に漏れて組織液(間質液)が増え、バランスが崩れた状態をいいます。
医学用語では浮腫(ふしゅ)といわれ、全身性の浮腫と、足など身体の一部に症状が出る局所性のむくみに分けられます。
一般的には、全身性の浮腫は心臓、腎臓、肝臓などの内科的な病気が原因となり、局所性の場合は静脈・リンパ管の閉塞や炎症が関係しています。
足のむくみのように局所的な症状の場合は、足の静脈の血流が滞って引き起こされています。
むくみの多くは、生活習慣に原因がある
足のむくみの多くは、病気ではありません。長時間座りっぱなしでいるなど、同じ姿勢を長時間保ち続けると、体内の水分が重力に従って足の方に集まります。これが、むくみの原因となるのです。
特に、脚の筋肉が落ちてくる中高年の方に多くみられます。この症状の場合、適度な運動をして脚の筋肉を鍛えることが改善策として有効です。
この他、塩分の摂りすぎや暴飲暴食、睡眠不足、過労などの乱れた生活習慣もむくみの原因となることがあります。
足のむくみが気になる場合、まずは自分の生活習慣を見直し、様子を見ると良いでしょう。
むくみの多くは一過性のものであり、特に心配する必要はありません。しかし、中には病気が原因となっているものもあります。次項では、病院に行くべきむくみについて解説します。
こんな症状がみられたら、受診をおすすめします
突然あらわれたひどいむくみや、顔の腫れ、呼吸困難などを伴うむくみの場合、何らかの病気のおそれがあります。
また、以下のような場合は、一度かかりつけ医を受診した方が良いでしょう。
- 内くるぶしから2~3cm上の部分を親指で5秒ほど圧迫した際に、指の跡がはっきりとくぼんで見える
- 最近、むくみのせいで靴やベルトがきつくなった
- 1日の間で数kgにもおよぶ体重変化がある
- 尿の出が悪くなった
- 夜中にトイレに立つ回数が増えた
- 横になると咳が出たり、息苦しかったりする
- 血尿を伴う
- 口唇やまぶたが腫れる
受診の際は、むくみがどの時間帯に強くなるか、日を追うごとに悪化しているかどうかなどを医師に伝えると、正確な診断につながります。
むくみの主な原因となり得る病気
ここでは全身性浮腫と局所性浮腫にわけて、考えられる代表的な病気を紹介します。
全身性浮腫
- 心原性浮腫:心臓の病気によって起こるものです。心不全などが原因として考えられます。
- 腎性浮腫:腎臓の病気によって起こるものです。ネフローゼ症候群、急性糸球体腎炎、腎不全などが原因になります。
- 肝性浮腫:肝硬変や門脈圧亢進症が原因で生じます。
- 内分泌性浮腫:甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症のほか、女性の場合は月経前症候群(PMS)も原因になり得ます。
- 栄養障害性浮腫:食欲不振により、血液中のタンパク質が低下した時に起こるものです。がんや摂食障害、過剰なダイエット、アルコール依存症などが原因となります。
- 薬剤性浮腫:非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)や降圧薬、抗がん剤などの副作用で生じるむくみです。
- 肥満性浮腫:皮下脂肪が静脈を圧迫するために浮腫が生じます。
局所性浮腫
- 血管性浮腫:表在性血栓性静脈炎や下肢静脈瘤などによるものです。
- 血管運動性浮腫:じんましんの一種で口唇やまぶたにむくみが生じます。クインケ浮腫とも呼ばれます。
- リンパ性浮腫:がん治療によるリンパ節の切除や、リンパ管の機能不全によって発症します。
- 炎症性浮腫:やけどや痛風が原因となるむくみです。関節リウマチなどの病気も原因になり得ます。
- 外傷性浮腫:骨折、打撲、捻挫などの際、傷口からの細菌が侵入することで生じるむくみです。
- 麻痺性浮腫:脳梗塞などで体が動けなくると、その部分だけ浮腫が生じます。
まとめ
上記にもある通り、大部分のむくみは生活習慣の改善などにより良くなるものです。
しかし、むくみ以外の症状がともなう場合や、あまりにもひどいむくみが続く場合、病気が原因となっている場合もあるので病院を受診してください。
むくみだけの症状の際にも、むくみの傾向や体重の変化によく注意し、異常を感じたらかかりつけ医に相談してみてくださいね。