不整脈が原因で起こる病態(病状)の一つにアダムス・ストークス症候群があります。めまいを感じたり、意識を失ったりする他、ときには命を落とす危険性もあります。今回は失神などを招くアダムス・ストークス症候群について、メカニズムや症状、治療などを紹介します。
アダムス・ストークス症候群が起こる理由
脈が遅くなる徐脈や、逆に異常に早くなる頻脈など、正常ではない心臓の拍動をまとめて不整脈といいます。こうした不整脈が急に発生すると、心臓から脳へ送られるはずの血液量が極端に減ってしまいます。血液が十分に送られないため脳内は酸素不足に陥って、意識を失ったり、痙攣(けいれん)を起こしたりします。これがアダムス・ストークス症候群です。
不整脈が原因でめまいや失神発作・意識喪失が起きますが、一時的な不整脈であれば、その後意識は回復し、通常通りの生活を送ることができます。一方で、心停止の時間が長くなれば「突然死」「心臓麻痺」など、最悪死に至る場合もあります。
アダムス・ストークス症候群という名は、メカニズムを発見した2人の医師から命名されています。アダムス・ストークス発作と呼ばれることもあります。
アダムス・ストークス症候群を招く原因
アダムス・ストークス症候群を招く危険性がある不整脈は以下の通りです。
頻拍は頻脈と同じ意味で、鼓動を起こす電気の流れが正しく一方通行で伝わらず、異常な電気の流れを繰り返す状態です。特に心室は全身に血液を送り出す部分なので、この部分が原因で頻拍が起こると全身の主要な臓器で酸欠状態が起きてしまいます。
ブロックが生じると心臓を動かすための電気の通りが悪くなり、心臓の動きが途絶えてしまいます。
アダムス・ストークス症候群の症状

アダムス・ストークス症候群の主な症状は、以下の通りです。
- めまい
- 意識障害
- 痙攣
- 失神
アダムス・ストークス症候群の治療
アダムス・ストークス症候群を治療するには、不整脈を引き起こす原因疾患を治療することです。治療することで異常な電気の流れを防止し、全身に必要な血流量を保ちます。手術や薬物療法、機器の埋め込みから選択されます。
心臓カテーテルアブレーション
心臓内で異常な電気を発生させる細胞に、高周波の電流を流します。電流で該当の細胞を焼き切って壊死させ、不整脈を起こさせなくします。
ペースメーカー・植え込み型除細動器(ICD)
ペースメーカーやICDによって、脈が少ない時に心臓を刺激して少ない脈を助けることや、異常な不整脈を正常に戻すことを行います。主に薬物療法と併用します。
薬物療法
抗不整脈薬を服用して治療します。こちらも不整脈を改善させますが、必ずアダムス・ストークス症候群を防止できるというものではありません。
まとめ
アダムス・ストークス症候群は、いつ発作が起きて失神や痙攣を起こすか予測ができません。もともと不整脈を指摘されている方はもちろん、急にめまいが起きたり意識が遠のくような感覚を感じたりした時には、すぐに医療機関に行きましょう。
また、普段動悸やめまいなどの症状が表れていない方でも、健康診断などで心機能の検査を勧められた場合には一度医療機関を受診してください。