口の中に突然水ぶくれのようなものを発見したら、これは一体何だろう!?とびっくりしますよね。何か悪い病気なのではないかと、心配にもなると思います。水ぶくれといえば火傷をした時に良く見ることはありますが、口の中にできることもあるのをご存知でしたか? 今回は口の中の水ぶくれについてお伝えしていきます。
水ぶくれは、ウイルスによってできる!

口腔内に「水ぶくれ」ができる原因として、まずウイルスへの感染があります。
手足口病
- コクサッキーウイルスの一種によって起こる感染症
- 感染3~5日後に、口の中や手足などに水疱性の発疹(2~3mm)が発生
- 子どもに多く、主に夏に流行
- ほとんどは数日中に治る
※まれに、中枢神経系の合併症(髄膜炎、小脳失調症、脳炎など)や、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺なども起こすことがあります。
基本的には軽症なので、経過観察になることが多いです。高熱、嘔吐、視線が合わない、ぐったりしているなどの症状が見られた場合には、早期に医療機関(小児科、内科)を受診するようにしてください。さらに詳しく知りたい方は、「夏に多い手足口病ってどんな病気?」の記事をご覧ください。
ヘルペス
ヘルペスウイルスによって起こる感染症で、口腔粘膜、口唇、外陰部、指などに多発します。
透明~白色の水ぶくれができるヘルペスウイルスによる病気ですが、次のように分けられます。
1.単純疱疹(たんじゅんほうしん)
- 単純ヘルペスウイルスによるもの
- むずむずとした痒みや痛みが出た後、赤くなって、水疱ができる
- 水ぶくれと破れた後の潰瘍ができ、痛みを伴う
- 1週間~2週間位の間にかさぶたになり、治る
※痕が残る原因となるので、かさぶたは無理に取らないでください。
2.帯状疱疹(たいじょうほうしん)
- 水痘・帯状疱疹ウィルスによるもの
- 口唇、舌、口腔粘膜に水疱が見られる
- 三叉神経痛様の痛みがあり、遷延すると神経痛に移行する
- 発疹は片側にのみ現れる
※耳鼻咽喉科や眼科領域の症状が伴うこともあります。
水疱内にもウイルスが多く存在している為、破らないようにする。
ヘルペスウイルスは早い対処が必要です。感染力が非常に強いので、感染させないよう十分に注意しましょう。
唾液腺が関係する?水ぶくれ

唾液腺がある所にも水ぶくれができることがあります。
粘液嚢胞(ねんえきのうほう)
- 直径5mm前後で小唾液腺がある所にできる
- 唇を噛んだりして小唾液腺が傷つき、中に唾液が溜まり膨らんだもの
- 特に痛みはない
- 一旦しぼんでも再び膨らんでくることがある
ガマ腫
- 大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)のうち、舌下腺に生じる粘液嚢胞
- 唾液が貯留して口腔底部がポコッと大きく膨らむ
粘液嚢胞やガマ腫の場合、痛むことはほとんどありません。しかし、一度しぼんでも自然治癒することはなく、再発する可能性が高いので、一度歯科医院で見てもらった方が良いでしょう。
原因不明?自己免疫疾患でできる
原因がはっきりしていない、口腔粘膜や皮膚の成分に対する自己免疫疾患による水ぶくれが見られることもあります。
類天疱瘡(るいてんぽうそう)
- 口腔粘膜に見られる水疱、びらん
- 口腔・眼粘膜に症状が出ることが多い
- 水疱はすぐに破れてびらんになる為、違和感や痛みを感じる
尋常性天疱瘡(じんじょうせいてんぽうそう)
- 大きなびらんを形成する
- 中高年に多い
- 口腔粘膜に最初に症状が現れ、次いで皮膚に大きな水疱が見られるようになる
- 再発しやすい
中等度までなら、ステロイドの軟膏やステロイドの内服を行う場合が多いです。
放って置くと重篤な症状を起こすこともあるので、早いうちにきちんと治療しましょう。
他にもこんな場合にできる!

歯周膿瘍
- 歯周病が原因で起きる
- 白色~黄褐色(膿)の水ぶくれ
- 原因となっている歯や歯茎の治療が必要
膿がたまって歯茎がプクッと腫れたようになった状態です。歯科医院で治療を受け、原因を取り除きましょう。
血腫
- 咬傷などによって起こるが、中には噛んだ様子が見られない場合もある
- 赤色~暗赤色の水ぶくれ
- 血液が貯留している状態
血腫はそのままにしておいても特に問題ありません。
まとめ
口の中に水ぶくれができる原因は、意外と多くあるものですね。
口の中は暗く、ご自分では見にくい所ですし、また早期の対処が必要な場合もあります。もし異変に気が付かれたら、早めにかかりつけの歯科医院で見てもらいましょう。