いびきは、ご家族や友人から伝えられて知ることが多く、自分自身は自覚症状がないため、重症な状態になっている場合が少なくはありません。若い世代から高齢者まで、いびきをかく方がいらっしゃいますが、多くは年齢と共に悪化していきます。どうして、いびきをかき、悪化するのか?体への影響について解説します。

目次

いびきの定義とは?

いびきとは、異常な呼吸音のことをいいます。

睡眠中の呼吸時に鼻や口・喉を空気が通りますが、構造上の問題もしくは分泌物(鼻水・唾液・など)が振動して気流障害が起きるため異常な音がします。

いびきが起きる要因を知るためには、睡眠・気流障害・振動する構造物に着目する必要があります。つまり、鼻や口腔内・喉に異常があれば、いびきをかく可能性は高くなります。

いびきをかくと何が問題なの?

いびきは睡眠中に起きているため、自覚していることは殆どありません。しかしいびきが途中で止まるような、呼吸停止が起きている場合(睡眠時無呼吸症候群)は注意が必要です。無呼吸を繰り返すことで様々な障害を起こします。

まず、睡眠とは日中に活動し疲れた体と脳を休めるためのものですが、呼吸が止まることで体の中の酸素が減りますので、酸素不足を補うために心拍数を上げなければなりません。

血中の酸素不足は、心臓や肺・脳などに負担をかけ、脳梗塞心筋梗塞など、命にかかわる合併症を引き起こす危険性が高くなります。

さらなるデメリットとして、本人は寝ていても心臓と脳が休まず一晩中働き続けることになり、その結果、十分に寝て疲れをとったはずなのに、強い眠気疲労感集中力の低下を招くという事態になります。

本人の訴えで多いのは「頭痛」「作業効率の低下」「疲労感」「眠気」で、居眠りによる交通事故などの社会的な問題に発展する危険性があります。

不安な方は家族などに、毎日いびきをかいていないか、いびきが途中で止まっていないかを確認してもらっても良いかもしれません。そしてご家族の方は、慢性的ないびきや、睡眠中に呼吸が止まっていることに気づいたときにはそのことをご本人に教えてあげてください。一度、耳鼻咽喉科などの病院に相談すべき状況です。

ポイントとして、睡眠時無呼吸症候群の方は、「いびきをかく→呼吸停止→呼吸再開→いびき→呼吸停止」のサイクルを繰り返しています。

いびきをきたす疾患とは?

いびきには、基本的に治療の必要ない一過性のもの医療機関に相談が必要な病的なもの2種類があり、更に病的な原因には大きく分けて、空気の通り道が物理的に狭くなって呼吸が止まってしまう閉塞性睡眠時無呼吸症候群と呼吸中枢の異常による中枢性睡眠時無呼吸とに分かれます。

一過性のいびきの原因

など

病的ないびき、睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)の原因

  • 小下顎症(しょうかがくしょう):先天性で顎が小さいことで口呼吸となりやすい。
  • 巨舌症(きょぜつしょう):先天性で舌が大きい事で空気の通りが悪い。
  • 鼻炎鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう):空気の通り道が狭いもしくは閉塞している。
  • アデノイド肥大:鼻から喉にかけての腫れがあり空気の通り道が狭くなっている。
  • 扁桃肥大:扁桃腺が腫れていることで空気の通り道が狭くなっている。
  • 咽頭浮腫:喉のむくみにより、空気の通りが悪くなっている。
  • 咽頭麻痺:喉の筋肉が緩んでいることで狭窄しやすい。
  • 腫瘍:腫瘍により空気の通り道を圧迫している。
  • 肥満:喉の周りに脂肪がつき、気道が狭くなっている。

などが考えられます。

原因は分かったけど、なぜ睡眠中に呼吸停止が起きるの?

首をかしげる女性-写真

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があり、レム睡眠の眠りは浅い眠り、ノンレム睡眠は深い眠りのことを言います。

レム睡眠中は、体は深く眠り休んでいますが、脳は覚醒している状態です。呼吸を制御している場所が働きづらくなっているうえに筋肉が緩むため、気道は狭くなりやすくなります。そこに、元々ある疾患や生活習慣などの影響からいびきを来し、いびきを起こしてしまうのです。

さらに病的ないびきの方は、ノンレム睡眠中に脳も休もうとしたとき、気道が狭くなり呼吸が止まってしまいます。そうすると脳が異常事態と判断し強制的に起きて呼吸を再開するよう指令を出します。

睡眠のサイクルはレム睡眠とノンレム睡眠を朝までに4~5回繰り返して、脳と体の疲れを回復していますが、睡眠時無呼吸症候群になることで脳の疲れが取れない状態が続くのです。

まとめ

極度に疲れている場合や、飲酒などによるいびきは、誰にでも一時的にみられる症状ですが、昼夜問わず寝るといびきをかき、そのあと呼吸が一時止まるなどの時には、鼻から喉までの疾患だけではなく、心疾患や脳血管障害などが発症している場合がありますので、一度専門医に受診することをお勧めします。