新年会や忘年会、歓送迎会、定例会…大学生や社会人の生活には、「飲み会」がつきものです。ときには、週に何回も宴会が続いてしまうことも珍しくありませんよね。
飲めや歌えの宴会は楽しいものですが、その一方で、連日のアルコール摂取はあなたの身体に悪影響を及ぼすことがあります。今回はお酒と上手に付き合う方法を、【肝臓】【依存】【イッキ】というキーワードとともにお伝えします。
体内に入ったアルコールはどうなるの?
体内に入ったアルコールは、その2割が胃から、残りの8割は小腸から吸収され、その後は肝臓で処理されます。
肝臓ではまず、ADH(アルコール脱水素酵素)やMEOS(ミクロゾームエタノール酸化系)といった酵素がアルコールを分解し、アセトアルデヒドという有毒物質を作ります。このアセトアルデヒドは、動悸や頭痛といった悪酔いの症状の原因物質です。
このアセトアルデヒドはさらに、ALDH(アルデヒド脱水素酵素)という酵素により、体に害のない酢酸に分解されます。酢酸は血液にのって全身を巡り、最終的に水や炭酸ガスとなって体外に排出されます。
アルコールは、比較的すみやかに吸収・分解が開始される物質です。厚生労働省によると、目安として、ビール中瓶1本が分解されるまでにかかる時間は下記とされています。
- 男性:2.2時間程度
- 女性:3時間程度
ただし、アルコールの分解速度は個人差が非常に大きいため、上記はあくまで目安と考えてください。
アルコールを分解する【肝臓】を守ろう
アルコールの飲み過ぎによって最も影響を受ける臓器は、肝臓です。
アルコールを分解するとき、中性脂肪が合成されます。そのため、お酒を飲みすぎると肝臓に中性脂肪がたまり、脂肪肝と呼ばれる状態になってしまうのです。
脂肪肝はほうっておくと、肝硬変や肝がんへと進行するおそれもあります。
脂肪肝は、自覚できる症状はほとんどありません。気づかぬうちに進行してしまうことも少なくないため、定期的に検診を受けることが何よりも重要です。
厚生労働省は、アルコールの摂取量を下記のように定めています。
- 節度ある適度な飲酒:1日平均20g程度
- 多量飲酒:1日平均60gを超える飲酒
この20gは、ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、25度の焼酎なら0.6合程度です。いくら盛り上がったとしても、この量を超えないようにしてください。また、お酒を飲むときには空腹状態ではなく、おつまみとして良質なタンパク質やビタミンを一緒に摂ることをおすすめします。
お酒の飲み過ぎは【依存】につながることも

多量のお酒を長期間にわたって飲み続けていると、お酒なしではいられないアルコール依存症になるおそれがあります。
アルコール依存症は、お酒がないとイライラしたり、不眠や頭痛、吐き気、手の震え、下痢、動悸、発汗といった様々な症状が出てきたりする病気です。家族や友人がたしなめても説得を聞こうとせず、かえって反発したり、トラブルを引き起こしたりと、周りの人を巻き込む病気でもあります。
依存症の患者さん自身が「自分はアルコール依存症かもしれない」と気付くのはとても難しいことです。飲酒量や速度が増えた、お酒を飲まないと上記のような症状が出るなど、家族や周囲の方が見ていて気になるサインがあれば、専門の医療機関に相談することをおすすめします。
【イッキ】は命を奪うことも
大量のお酒を一度に飲ませる「一気飲み」「イッキ」。宴会を盛り上げるにはうってつけに思えますが、これは非常に危険な行為です。
アルコールを一気に摂取すると、血中のアルコール濃度が急激に高まり、泥酔状態になります。この状態を急性アルコール中毒といいますが、これは低血圧や呼吸困難などを引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあるのです。同様の理由から、お酒が苦手な人が無理やり飲酒するのも大変危険といえます。
東京消防庁によると、急性アルコール中毒で救急搬送された人の多くは20代の若者たちです。理由として、自分がどのくらいの量のお酒を飲めるか把握していないということが挙げられます。くれぐれも、節度ある飲酒を心がけましょう。
また、万が一お酒を一気飲みして意識を失った人がいた場合、すぐに救急車を呼んでください。
まとめ
飲み会にあたり、楽しくお酒を飲むために改めて知っていただきたいポイントをまとめました。「もう知ってる!」「散々言われている!」という話題もあったと思いますが、これらの一つひとつをしっかり守ることが、皆さんの健康や生命を守ることにも繋がります。
無理せず楽しくお酒を飲んで、周囲の人との交流を深める機会にしてくださいね!