頭が痛い、熱がある、お腹が痛いなど明らかに普段とは異なる身体の症状がある普通の病気であれば、少なくとも病気であると気づくことは難しくないでしょう。
しかし、こころの病気の場合、その症状は、何もやる気がしない、楽しくない、イライラするなど、ある意味普通のことです。そうなると、自分自身や親しい家族のことであっても、なかなか病気であるとは気づけないかもしれません。
当たり前ですが、病気を治すためには、まず自分自身、あるいは家族が病気であることに気づかなければなりません。病気であると思わなければ、医療機関にもかからないですよね。
そこで、本記事では「統合失調症」、「双極性障害」、「うつ病」、「月経前不快気分障害」、「強迫症/強迫性障害」、「病気不安症」、「作為症/虚偽性障害」、「境界性パーソナリティ障害」の8つの精神疾患について、簡単にその症状を説明します。
また、最後に、病気であると判断するための基準を紹介します。
8つの精神疾患の病名と症状
統合失調症 | 幻視、幻聴などの幻覚、被害妄想、感情の不安定、異常な興奮、食欲低下、睡眠障害、言葉がまとまらない、他者とのコミュニケーションがうまくとれないなどの異常な症状が6ヶ月以上の期間にわたって見られる。 |
双極性障害 | 気分が高揚し活発な状態(躁状態)と、気分が落ち込む、何事にも興味や関心がわかず楽しめないといった状態(うつ状態)が繰り返す。 |
うつ病 | 気分が落ち込む、何事にも興味や関心が湧かず楽しめないといった状態(うつ状態)が 2週間以上続き、更に以下のような症状がある。
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月経前不快気分障害 | 特に生理前に以下のような精神症状が症状が5つ以上現れる。5つ以下の場合は、月経前症候群の可能性があります。
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強迫症/強迫性障害 | 自分でもおかしい、不合理だと思っていても、以下のような行為や考えをやめられない。
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病気不安症 | ちょっとした身体の不調でも大変な病気なのではないかと不安になり、医療機関で診断を受けずにはいられない。 |
作為症/虚偽性障害 | 学校をサボりたいための仮病などではなく、家族や医療従事者の関心を得たいがために病気を装う。 |
境界性パーソナリティ障害 | 自分が何をしたいのか分からない。 友人、家族、恋人といった親しい関係の人に対して、まるで幼児が母親に求めるような過度な受容を求めてしまう。 少しでも受容してもらえないとなると、罵倒したり、相手をこき下ろしてしまう。更には、自殺未遂までする。 |
病気かもしれないと判断するための基準
「統合失調症」、「双極性障害」、「うつ病」、「月経前不快気分障害」、「強迫症/強迫性障害」、「病気不安症」、「作為症/虚偽性障害」、「境界性パーソナリティ障害」8つの精神疾患の説明を読んでみてどのように思いましたか。
統合失調症の「幻覚」や、境界性パーソナリティ障害の「自殺未遂」となるとそれだけでもおかしいと思えるかもしれませんが、うつ病の「集中できない」や、強迫症/強迫性障害の「何度も戸締まりを確認してしまう」となると、判断は難しいと思われたのではないでしょうか。
そこで、米国精神医学会が発行している「DSM-5 鑑別診断ハンドブック」に書かれている基準をご紹介します。
その障害は臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こす。
つまり、生活をする上で問題があるかどうかが判断の基準になるということです。「集中できない」ことは誰にでもあることですが「集中できない」ことによって仕事に支障をきたしている、「何度も戸締まりを確認してしまう」ことによって外出ができないとなると精神疾患の可能性があります。
もし、この基準に照らして「病気かもしれない」と思ったら、あまり身構えることなく、医療機関を受診するか、カウンセラーに相談してみてはいかがでしょうか。