「さっき行ったのにまた…?」。日頃、トイレの間隔が短いと感じている方はいませんか?トイレが近いと、気になって仕事などに集中できなくなることもあります。こういった症状がある方は、過活動膀胱といわれる病気かもしれません。今回はこの過活動膀胱の概要と、どのようにしたら改善できるのかをご紹介します。

目次

過活動膀胱とは

過活動膀胱はその名の通り、膀胱が活動しすぎてしまっている状態です。トイレが近い(頻尿)、急に強い尿意に襲われる(尿意切迫感)、尿意が我慢できず漏らしてしまう(切迫性尿失禁)といった症状を伴います。

そもそも膀胱とは、腎臓で作られた尿を一時的に貯めておく臓器で、300~500mLの尿を溜めておくことができます。通常、尿で膀胱がいっぱいになると脳に信号が送られて尿意を催すようになります。しかし、過活動膀胱の状態になるとこのシステムが不具合を起こしてしまいます。

過活動膀胱の2つの原因

トイレマーク-写真

過活動膀胱になってしまう原因は、大きく分けると2つあります。

1.神経のトラブル

1つ目の原因として上げられるのは、神経のトラブルです。具体的には、脳梗塞脳出血などの脳血管障害、パーキンソン病脊髄損傷多発性硬化症などの病気が原因になります。これらの病気は、脳と膀胱を結ぶ神経回路に障害を起こさせてしまう可能性があります。それによって、まだ尿が少ししか溜まっていなくても「尿を出せ」と誤った指令を出してしまい、過活動膀胱が起きてしまいます。

2.神経のトラブル以外

2つ目は、神経トラブルとは関係のないものです。男性の場合、前立腺肥大症によって引き起こされる過活動膀胱があります。前立腺肥大症の症状の一つに、尿が出にくくなる症状があります。そのため尿を出そうと無理な力をかけ、膀胱に負担をかけてしまい、膀胱の壁に血流障害を招き、筋肉の過剰な興奮を引き起こします。これが繰り返されると、膀胱が少しの刺激にも過敏になってしまい、結果、過活動膀胱になるのです。

一方、女性の場合は、加齢や出産によって膀胱・子宮・尿道などを支える骨盤底筋が弱くなり骨盤性器脱が起きることによって過活動膀胱となります。また女性ホルモンのバランスの乱れによって過活動膀胱になってしまうことがあります。しかし、実際は様々な状況が絡み合って症状を起こすことも多いため、原因をひとつに絞れない場合が多くあります。

トイレが近くて困っている方は、恥ずかしいからといって放置せずに、泌尿器科への早めの受診をお勧めします。

過活動膀胱の改善策・治療法

ここでは過活動膀胱の改善策・治療法4つを紹介します。

1.水分を多く取り過ぎないように調節する

水分の摂取量(飲む量)を調節することは大事です。単純に量を調節するだけでなく、特にビールなどのアルコール、お茶やコーヒーなどのカフェインの入っているものをはじめ、利尿作用のある飲料の摂取を控えるようにするとよいでしょう。

2.膀胱訓練をする

膀胱訓練とは、自分の排尿をコントロールするための訓練です。やり方は簡単で、尿意を我慢する練習を短い時間から、少しずつその時間を延ばしていきます。最初は、トイレに行きたいと思ってから我慢する時間を5分に設定して、最終的には2~3時間と延ばしましょう。この膀胱訓練に合わせて、排尿した時間や大体の量を記す排尿日記をつけると、自分の排尿傾向を知ることが出来るので有効です。

3.骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋体操-図解

女性の場合、過活動膀胱の原因に骨盤底筋の筋力低下を紹介しましたが、その骨盤底筋を鍛える簡単なトレーニングがあります。

  • 仰向けに寝そべる
  • ひざを軽く曲げる
  • この姿勢のままで尿道・肛門・膣をお腹の中に引き込むイメージできゅっと締めたり緩めたりを繰り返す。
  • しばらく休憩したら、同じようにギュッと締めたまま3秒止め、そのあと力を抜く(5回繰り返す)
  • 1~4の動きを何度か繰り返す。

慣れてきたら、立ってやってみたり、座ってやってみたりと、体勢を変えてやってみるのも効果があるのでぜひやってみましょう。

内服治療と同時に行うとより効果が期待できます。

4.薬による治療

過活動膀胱と診断された場合、一般に抗コリン薬受容体刺激薬などが処方されます。これらの薬は、排尿筋のコントロールをしている自律神経に作用して膀胱の収縮を抑えるため、膀胱の過活動状態を抑制する働きがあります。

しかし、副作用として喉の渇きや、便秘吐き気などもあります。これらの症状が出た場合は、必ず処方してくださった先生に相談しましょう。

まとめ

過活動膀胱の原因と改善策について紹介しました。命に関わる病気ではないものの、いつもトイレを気にして過ごすのは辛いですよね。もし、自分に頻尿、尿意切迫感などの症状がある場合は、恥ずかしがらず、泌尿器科の先生に診てもらい、早めの治療を受けることをおすすめします。