健康診断のときや診察のときの血圧は正常だけれど、自宅で測ると血圧が高い状態を「仮面高血圧」といいます。この仮面高血圧は、慢性的な高血圧と同様に治療が必要な状態なのですが、検査結果に現れないために自分が高血圧であることが気づかずに、治療の機会を逃してしまう恐れがあります。

この記事では、仮面高血圧とはどのような状態か、また高血圧に気づくための対処法について解説しています。

目次

仮面高血圧ってなに?その危険性とは

仮面高血圧は「仮面」という表現からも分かるように、実際には高血圧なのに医師の前では仮面をつけて良い子(正常血圧)のフリをしているという状態です。診察室や健診など測定した場合には正常値が出ますが、実際には高血圧であるために、自宅などで図る血圧は高く異常値となる場合もあります。

このように仮面高血圧は、単に検査の際に「高血圧」と評価されないだけで、慢性高血圧の状態と同じです。つまり、高血圧の方と同様のリスクを抱えているといえます。高血圧が引き起こす病気には、以下のようなものがあります。

どれも気づかずに放置すると、命に関わるような病気です。仮面高血圧はこれらのリスクを負っていることに気づかずに未治療の状態なので、治療をしている高血圧の患者さんよりもさらに高いリスクを負っている可能性があります。

仮面高血圧に気づく3つのポイント

高血圧を未治療のまま放置していると、様々な疾患のリスクを抱えることがわかりました。高血圧は、早めに気づき普段の生活習慣を改善することで血圧をコントロールする必要があります。では、検査時には分からない仮面高血圧にどのように気づくことができるのでしょうか。

1.高血圧になりやすい生活習慣・持病をチェックする

年に一回の健康診断や病院の診察時の血圧が正常であっても、高血圧になりやすい生活習慣のある方は要注意です。高血圧になりやすい例を挙げてみましょう。

この他、家族に高血圧の方がいる場合には、遺伝的に高血圧になりやすい体質である可能性があります。ひとつでも当てはまる項目がある場合には、次の項目でも紹介しているように、日常生活の中で血圧を測定してみましょう。

2.血圧を測るタイミングを工夫する

家庭で血圧を測る際に、時間を決めて測定を行うと血圧の変化に気づくことができます。

血圧を測るタイミングとしては、朝起きて1時間以内・夜寝る前の1時間以内の2回で、これを毎日記録して経過をみます。
可能であれば、日中活動している時間帯でも休憩時間などで1回測定するとより参考になります。

ただし、1時間毎とか2時間毎など神経質に測りすぎるとストレスになることがあるので、1日に3~4回程度で時間や条件を決めて測る方がより効率的・効果的です。このほか、医師の勧めで24時間血圧計(ABPM)で経過を見る場合があります。

3.高齢者の方は定期的に血圧を測定する

人間の体の血管は、加齢に伴い弾力性が失われます。その結果、血液の流れが悪くなるために、心臓はより勢い良く血液を送り出そうとし血圧が高くなります。

厚生労働省の調査によれば、医師に高血圧と言われたことがある人の割合は、30代が5.3%、40代が11.0%、50代が23.4%、60代が33.0%、70代以降が45.4%です(厚生労働省より)。高血圧の方の割合は、年齢とともに高くなっていくことがわかります。特に、60歳を過ぎるとおよそ3人に1人が高血圧です。一定の年齢を過ぎた場合には、誰しも高血圧のリスクを抱えているといえるでしょう。

治療中の方も要注意!

高血圧の治療を既にしていて降圧薬を飲んでいる方の場合も、薬の効果が切れている時間帯に高血圧になっていることがあります。

高血圧になっているときは、発汗が増えたり、めまいや頭の重さといった症状が出ることがあります。これらの症状が出る場合は血圧を測り、症状と血圧の経過を主治医に相談しましょう。

薬を変えて様子をみたり、24時間血圧計で状況確認をすることがあります。

また、薬を飲んで血圧が正常に戻ったからといって自己判断で薬を止めてしまう方がいます。薬の効果で見た目上の血圧が正常になっているだけなので、自己判断で薬を止めるのはとても危険なことです。

「薬は不要なのでは?」と思った場合、自己判断で薬を止めることはせず、その疑問をそのまま医師に伝えるようにしましょう。

仮面高血圧のパターン

朝

仮面高血圧はには以下のようなパターンがあります。

早朝高血圧

「早朝」とありますが、朝起きたときに測る血圧が高い状態です。私たちは目が覚めると、活動するために血圧が上がりますが、このタイミングで高血圧になる場合があります。

夜間高血圧

寝ている時間帯の血圧が高い状態のことです。24時間血圧計で測るほか、最近では家庭用の血圧計でも、寝ている時間の血圧を測定できるものも出ているようです。

ストレス高血圧(昼間高血圧)

仕事中や運動中など、ストレス下での血圧が高い状態です。

まとめ

高血圧は現代人の生活習慣などからとても身近な病気ですが、仮面高血圧の場合には、検査時に数値として現れないために病気に気づくことが難しくなります。本文中でも紹介しているように、高血圧になりやすい生活習慣を続けている・持病があるという方あるいは高齢者の方は、家庭で一日の血圧の変化を測定・観察することをおすすめします。

最近では、家庭用血圧計もリーズナブルなものも多く販売されています。
また、自宅に血圧計がない場合には、近所の病院やスポーツジムなどに設置されており、誰でも自由に使用することができる場合もあります。是非一度、ご自身の血圧をチェックしてみてください。