「足のむくみはよくあること」「むくみなんてたいしたことない」と考えている人はいませんか?実は足のむくみが病気のサインということもあるのです。そこで今回は足のむくみから考えられる病気について紹介していきます。

目次

「むくみ」ってなに?

細胞と細胞の間にある水分を間質液といいますが、その間質液が増加して皮膚の外からもぶよぶよしているのがわかるものを「むくみ」といいます。

毛細血管の内壁には無数の小さな孔(あな)があり、ここで血管の内と外の水分量の調整をしています。しかしこの機能のバランスが何らかの原因で崩れて、水分が余分に排出されたり間質液としてたまったりするとむくみ(浮腫)になるのです。

むくみがある場合は以下の点をチェックしてみてください。

  1. むくみは全身性か、左右片側だけか、局所性か
  2. 朝方からむくみがあるのか、夕方に強くなるのか
  3. むくみは日ごとに強くなっているのか
  4. 押すとへこむ(圧痕がある)か、へこまないか
  5. 体重の増加があるか(特に数日で数キロ増加するような場合は、1~2日のうちにかかりつけの医師に診てもらいましょう)

足のむくみから考えられる病気とは?

足をマッサージする女性-写真

 循環器系の病気

右心不全 軽度の場合は足が少しむくむ
中程度になると頸静脈(けいじょうみゃく)が大きく膨らみ、
お腹が張った感じ、肝臓が腫れる

食欲不振吐き気など。
重症になると全身がむくみ、腹水が溜まる。
深部静脈血栓症 突然、足が腫れ、痛みや軽い熱のような感じをともなう。
立ち続けると足が赤紫色になったりむくんだりすることも多い。
長時間寝る、飛行機でじっとしている場合に起こりやすい
エコノミー症候群
慢性静脈不全症 足のむくみ、腫れ、痛み、しこり、失神、色素沈着や潰瘍など
いろいろな症状がある。
下肢静脈瘤
足の皮膚近くの静脈が蛇行したり、
瘤のように膨れた静脈瘤ができたりする。
立ち続けると足がむくみ、だるさを感じる。
症状が進むと皮膚に褐色の色素沈着、
その部分に湿疹、潰瘍が起きる。
肺性心
慢性の肺性心では身体を動かしたときの息切れ、
疲れや食欲低下、顔面や足などのむくみ
が現れ徐々に進行する。
急性の場合は突然の呼吸困難を発症し、
なかには血圧が低下して一時的に意識を失い、
突然死する場合がある。
リンパ浮腫 手術や放射線治療・抗がん剤治療などによって
リンパ液の流れが悪くなる。
流れが悪い場所では、リンパ液が過剰に溜まり、
皮下にしみ出してきてむくみが生じる。
肥満性浮腫 肥満であまり歩かないために静脈ポンプが働かなかったり、
脂肪で物理的に静脈を圧迫することで、
血液の流れが悪くなり、浮腫を生じる。

血液内分泌代謝の病気

脚気(かっけ)
むくみ、全身倦怠感、動悸息切れ、手足のしびれ、
足の腱などの反射低下、手指や足先がしびれて知覚が鈍くなる。
慢性甲状腺炎
(橋本病)
甲状腺の表面が硬く、ごつごつと腫れる
倦怠感、気力の低下、手足のむくみ、冷え、便秘、
皮膚のかさつき、会話が遅くなるなど。
甲状腺機能低下症 むくみが現れる。倦怠感、気力の低下。
動作が鈍くなる。便秘、塞がりなども。

消化器の病気

たんぱく質
漏出性胃腸症
顔面や下腿に多いむくみ。重症になると腹水や胸水をともなう。
肝硬変 肝硬変の初期はだるさや食欲不振程度で自覚症状はない
進行すると黄疸、クモが手足を広げたような紅斑、腹水、
むくみ、手のひらが赤くなる。
皮下出血や鼻血、男性でも乳房が大きくなる。

泌尿器の病気

ネフローゼ
症候群
多量のたんぱく質を含んだ尿、
血液中のたんぱく質濃度の低下と脂質の増加

それに伴い、全身のむくみがみられる。
急性腎炎症候群
(急性糸球体腎炎)
むくみ、高血圧、血尿が三大症状。
これにタンパク尿も含まれる。急激に発症する。
見た目にわかる赤い血尿がみられることも。
風邪などのあとに起こることが多い。
慢性腎炎症候群 むくみ、高血圧とともに、たんぱく尿や血尿が持続的にある。
徐々に腎機能が低下する。

出典:新版 家庭医学大事典を元にいしゃまち編集部作成

まとめ

一時的でない足のむくみは病気が原因の可能性があります。「なかなかむくみが治らないな」「そういえば体調もよくないな」と思ったら、まずはかかりつけのお医者さんに相談してみましょう。