腎臓病だといわれると、詳しいことはわからなくても漠然と不安になってしまうものです。それが大切なお子様のことであれば、尚のことですよね。腎臓病にも、ほかの病気と同様、さまざまなものがあります。心配のいるもの・いらないもの先天性のもの・後天性のものがあります。

目次

初めに気が付くのはこんな症状!

多くの腎臓病にみられる症状が血尿・蛋白尿です。しかし、どちらも1度の検査だけは病気と判断することはできません。何度か検査をしながら、心配のないものか、治療が必要かを見極めます。

血尿

尿に赤血球が混じっている状態を血尿といいます。目で見てもわかるような真っ赤な尿が出る場合と、色には異常はないけれど、健診などで指摘される場合とがあります。

目で見えるものは尿路感染、腎炎、結石、上気道炎や咽頭炎(溶連菌)の後の免疫反応などが原因になっていることが多く、目に見えないものの場合は、原因のはっきりしない一時的なものであることが多いです。一時的なものは心配はいりません。

蛋白尿

健診で指摘されることがあります。尿に漏れたたんぱくの量によって、全く出ていない(-)から、たくさん出ている(3+)までの5段階で表記されます。

発熱や脱水、激しい運動のあと、起床後では一時的に陽性(+以上)になることがあります。こちらも、一時的なものであれば、やはり治療はいらないものです。

どんな病気があるの?~先天性の病気~

無形成腎低形成腎

胎児の段階で、腎臓が作られるときに、なんらかの要因で腎臓の組織がないままになってしまうもの(無形成腎)、腎臓の発達が十分でなく、腎臓としての働きが弱くなってしまうもの(低形成腎)があります。

腎機能の低下で見つかることが多いですが、片側だけの場合、問題なく過ごせて、大人になるまで気が付かないこともあります。

水腎症

腎盂(膀胱の前に尿が集まる場所)や尿管(尿を膀胱まで流す管)のといった尿の通り道が狭くなったり詰まったりすると、尿の流れが悪くなります。その結果、腎臓や尿管に尿が溜まって膨らんでしまった状態を、水腎症と呼びます。

症状としては発熱のみで、腎盂腎炎などの尿路感染を繰り返します。治療は経過観察から抗菌薬の予防内服・手術まで、状態に応じて考えていきます。

膀胱尿管逆流症

尿が膀胱から尿管、さらに腎臓に向かって逆流してしまう病気です。水腎症や尿路感染症の原因にもなります。尿路感染予防の服薬か、逆流防止のための手術が治療となります。

先天性ネフローゼ症候群

生後3か月以内に発症するネフローゼ症候群先天性ネフローゼ症候群といいます。ネフローゼ症候群とは、腎臓から尿にたんぱくが大量に漏れてしまうため、むくみが出てしまう病気です。

たんぱくは血管の中に水分を保つ役割があるので、たんぱくが尿に出てしまうと、血管に蓄えられるべき水分が体の組織に出てしまいます。その結果、むくみの症状が出てきます。薬物治療、塩分制限、食事制限を治療とします。

どんな病気があるの?~後天性の病気~

尿路感染症

腎盂腎炎、膀胱炎のように、腎臓や膀胱に細菌が感染する病気です。尿検査をすると、白血球、細菌が見られます。抗菌剤での治療が主です。先天性の病気が隠れていないか、注意が必要です

糸球体腎炎

腎臓の中にある糸球体に起こる、感染が原因となる炎症です。糸球体は汚れた血液をきれいするフィルターのような役割をしているので、そこにトラブルが起こることで症状が出てきます。

糸球体腎炎には急性のものと慢性のものがあります。急性のもので多いのは溶連菌感染症後の糸球体腎炎です。溶連菌感染症の1~2週間後に血尿や高血圧、むくみの症状が出てきます。血尿だけの場合もあります。症状が強い場合は入院になることもあります。

慢性のものでは、IgA腎症という病気が多くみられます。検尿で発見されるケースや、目に見える血尿で気づくことがあります。

ネフローゼ症候群

どのような病気かは、上記の先天性ネフローゼ症候群を参照してください。先天性以外では、原因となる腎臓病がある場合や、腎臓以外の病気、薬剤が原因となります。

夜尿症

いわゆるおねしょです。5歳以上で週2回以上の夜尿が治療対象となります。夜だけではなく、昼間でもおもらしがある場合は、腎臓や膀胱の機能に問題があることがあり検査が必要となります。

何が原因で腎臓病になるのでしょうか?

あひるのおもちゃ-写真

子供の腎臓病は大人の腎臓病に比べて、先天性のものが多い傾向にあります。先天性のものは、原因はわからないものがほとんどです。

後天性のものも、細菌感染や薬剤が原因になる場合もありますが、そのほとんどが原因がはっきりしていません。ですから、原因探しに気を取られすぎないでください。お子様が現在どのような状態で、何が必要かということを大事にしたいですね。

まとめ

代表的な腎臓病をみてきました。心配が大きくなってしまう病気ですが、すぐに治療が必要、というわけではないものもたくさんあります。経過観察期間も長くなりがちで、やきもきしてしまうこともあると思います。症状や検査結果をみながら、親御さんが心配していることは遠慮せずに、主治医の先生にどんどん質問して、少しでも不安を減らすようにしてください