子供が発熱した時、どのような病気が疑われるのでしょうか?今回は、くしゃみ・鼻水、のどの痛み、胸の痛み、耳の痛み、嘔吐・下痢など、発熱に伴う症状ごとに考えられる病気について、原因から症状まで詳しくご紹介していきます。

目次

熱のほかにはどんな症状が出ていますか?

子供に発熱がみられる病気としては、風邪やインフルエンザから扁桃炎や気管支炎、肺炎、腸炎など非常に様々な原因が考えられます。これらの病気を見分けるポイントは、発熱の他にどのような症状があるかをよく観察することです。くしゃみや鼻水など鼻の症状が強いのか、、声のかすれはあるか、嘔吐や下痢があるか、耳や胸などに痛みはないか、という点に注目することで、考えられる病気が変わってきます。

発疹など、皮膚に異常がある場合に考えられる原因はボリュームが多いため「子供が熱を出した!しかも発疹まで出てる!?なにが原因なの?」で解説します。こちらも併せてご覧ください。

くしゃみ・鼻水が出る場合

風邪

主にライノウイルス、パラインフルエンザウイルスから、乳幼児が重症しやすいRSウイルス、夏季にはプール熱の原因ウイルスであるアデノウイルスなど、ウイルスによる感染症であることがほとんどです。

鼻水鼻詰まりくしゃみなどの鼻の症状に加え、喉の痛みや声のかすれ、咳、痰、喘鳴(呼吸の際にゼーゼー、ヒューヒューと音がすること)などの症状が中心となります。場合によっては、発熱のほかに倦怠感、頭痛、関節痛を伴うことがあります。

インフルエンザ

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる感染症です。症状としては、咳や痰、くしゃみ、鼻詰まり、喉の痛みなどの呼吸器症状に加え、突然の発熱(38~39度)、筋肉痛、関節痛、頭痛、倦怠感(だるさ)などの全身症状が現れます。突然の高熱や筋肉痛、関節痛などの全身症状が起こるため、風邪と見分けるポイントになります。

免疫力・抵抗力が弱い子供やお年寄り、糖尿病などの持病がある場合は重症化しやすく、肺炎、脳症などを合併することがあります。

喉の痛みがある場合

急性扁桃炎

扁桃は喉の周囲に存在し、免疫に関係する働きをしているリンパ組織です。そのうち最も大きいものが、口を開けるとのどの奥に見え、口蓋垂(のどちんこ)に向かって左右から隆起しているもので口蓋扁桃といいます。レンサ球菌やEBウイルスなどの感染によって扁桃炎が起こると、発熱のどの痛み耳周辺の痛みに加え、喉の奥の通り道が狭くなって飲み込みにくいという症状もみられます。

急性喉頭炎

喉では食道に繋がる咽頭と気管につながる喉頭の2種類の管に分かれており、ウイルス感染などによって、喉頭に炎症が起こったものが急性喉頭炎です。症状としては、発熱に加え、喉頭には声を出す時に必要となる声帯があるため、声がかすれることもあります。また、空気の通り道が炎症によって狭くなってしまうことで、呼吸困難感が生じます。2歳以下のお子さんでは、オットセイのような咳と、かすれた声が特徴的です。

咽頭結膜熱(プール熱)

アデノウイルスによる感染症で、38~40度の高熱、喉の痛みに加え、結膜炎がみられます。喉は赤く腫れて痛み、首のリンパ節にも痛みが生じます。目は赤く充血し、ゴロゴロした痛みがみられ、まぶしさを感じやすい、涙や目やにが増えるという症状もみられます。

ウイルスに汚染された水を介して感染するため、「プール熱」とも呼ばれており、幼児や学童に多い病気となっています。

胸の痛みがある場合

急性気管支炎

気管支炎の原因の多くはウイルス感染によるもので、風邪などによって気道に生じた炎症が、よりのどの奥へ広がり、気管支まで及んだ状態です。症状として、咳や痰の症状が強く起こります。この他、発熱や食欲不振、全身倦怠感などの全身症状や、前胸部の不快感や痛みがみられることもあります。

肺炎

肺炎は細菌やウイルスなど様々な病原体を原因として生じる感染症です。主な症状は咳や痰、発熱ですが、倦怠感や食欲不振、胸の痛みなどが現れることもあります。

耳の痛みがある場合

耳を押さえる少年-写真

急性中耳炎

鼻の奥には耳管という管があり、耳と繋がっています。風邪などで鼻の粘膜に細菌・ウイルス感染が起こっているとき、この時間を通って炎症が耳に及んでしまうことがあります。特に子供はこの耳管が太く短いため、中耳炎は子供にみられやすい病気の1つです。

症状としては、鼓膜の奥に膿が溜まることで耳の痛みが生じます。鼓膜に穴が空いて中に溜まった膿が出てくると、耳だれとして確認できます。炎症が長く続くと、難聴を合併することがあります。

流行性耳下腺炎(おたふく)

ムンプスウイルスによる感染症です。症状は、発熱と耳下腺炎ですが、子供の場合、症状が現れないこともあります。耳下腺とは唾液を分泌する臓器で、耳の下にあります。耳下腺炎では耳の下が腫れあがりますが、発赤はみられません

合併症として髄膜炎や精巣炎、卵巣炎、難聴などがあり、予防接種が重要です。

嘔吐下痢

乳児嘔吐下痢症

原因の多くはロタウイルスによる感染症で、晩秋から冬にかけて流行します。主な症状は発熱、嘔吐、下痢であり、下痢便は白色から黄白色を示すことが特徴的です。

下痢の症状が強いことから、脱水を起こしやすく注意が必要です。脱水の初期症状としては尿量が減ったり、喉が渇きやすくなったりし、重症化すると意識障害を起こすこともあります。

炎症性腸疾患

小児で発症する割合は低いですが、2週間以上にわたって発熱や嘔吐、下痢が続く場合、潰瘍性大腸炎クローン病などの炎症性腸疾患が疑われます。これらは消化管、特に大腸に慢性的な炎症が生じる原因不明の病気であり、治療のコントロールも難しいです。

症状としては、発熱や嘔吐、下痢に加え、血便や腸内での出血による貧血、栄養の吸収不良による体重減少などがみられます。潰瘍性大腸炎では大腸から連続して炎症が広がるのに対し、クローン病では消化管であればどこでも生じるため、口内炎痔ろうなどがみられることがあるのも特徴的です。

まとめ

子供は免疫力が未熟なため、様々な感染症にかかりやすく、また重症化しやすいものです。肺炎や難聴、重症の脱水などに移行してしまう前に、早めに小児科を受診し、適切な治療を受けましょう。その際、お子さん自身では医師に症状を上手く伝えることが難しい場合もあり、普段どのような症状がみられているのかご両親がしっかり観察しておくことが大切です。