貧血と聞くと、過多月経や婦人科疾患が原因となる女性に多いイメージがあるかもしれません。ただ男性も貧血を起こす場合があり、そのときは重篤な病気が潜んでいるかもしれません。今回は男性で貧血がみられる時に疑われる病気について、詳しく紹介していきます。

目次

貧血とは

貧血とは、血液中の赤血球ヘモグロビン(血色素)が少なくなってしまった状態です。

ヘモグロビンは身体の隅々まで酸素を運ぶ役割を担っているので、貧血になると身体の組織に酸素が行き渡らなくなります。そうすると疲れやすい体がだるい、顔色が悪い、立ちくらみめまいなどの症状がみられる場合があります。

また組織が酸素不足になると、心臓や肺がカバーしようと懸命に働くため、階段を上がった時に動悸息切れ胸痛なども起こりえます。

このほか耳鳴り頭が重い感じ、ぼーっとする集中力が低下するなどの症状がみられることもあります。

貧血の原因

貧血の原因は様々ありますが、ここでは一部を紹介します。

鉄欠乏性貧血

血液中の鉄分が不足して起こる貧血です。
女性の月経、婦人科疾患による出血、消化器からの出血や鉄分の摂取不足、鉄の吸収障害などが当てはまります。

ビタミンB12欠乏性貧血

ビタミンB12が欠乏することによって起こる貧血で、巨赤芽球性貧血とも呼ばれます。
ベジタリアンの方やアルコール依存症、食事からのビタミン摂取不足、服薬の影響などで起こります。
特に胃を切除した後、ビタミンB12欠乏で起こる貧血を悪性貧血といいます。

葉酸欠乏性貧血

葉酸の欠乏による起こる貧血で、葉酸の摂取不足妊娠・授乳期の葉酸の不足によって起こります。

腎性貧血

腎臓の疾患により、腎臓で作られるエリスロポエチンの量が減ることによって起こります。

溶血性貧血

先天性の血液の病気や、自己免疫性溶血性貧血薬による影響化学物質の吸引感染症蛇やクモの毒などによって起こります。

このほか肝臓、内分泌の疾患でも貧血は考えられます。

男性が注意したい貧血の原因は?

お腹の不調を訴える男性を診るドクター

男性で貧血を起こした場合、胃や十二指腸といった消化管から出血が起きているケースに注意します。
消化器から出血していた場合、黒色、赤もしくは赤褐色の便がみられる場合があります。

消化管に出血を起こす疾患をいくつか挙げるので、参考にしてみてください。

胃・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸の粘膜がピロリ菌や消炎鎮痛剤などの影響で弱くなり、傷ついて潰瘍(組織がえぐれてなくなってしまう)を起こしている状態です。
胃痛胃の不快感、吐血、下血、穿孔(穴が開く)などの症状がみられます。

大腸ポリープ

大腸の粘膜に組織が盛り上がった状態を大腸ポリープと呼びます。
ポリープにはいくつか種類があり、その中でも腺腫と呼ばれるタイプは後にがん化することがあるため切除が必要です。

ポリープが大きくなった場合、便を検査すると血が混じります(便潜血)。血便なども起こります。

胃がん・大腸がん

胃がん大腸がんも、貧血を伴う場合があります。

胃がんは上腹部痛や上腹部の不快感嘔吐吐血下血体重減少食欲不振などがみられることがあり、大腸がんでは便秘下痢血便お腹が張るなどが挙げられます。

しかし、どちらも自覚症状がないことも少なくありません。

痔核

痔には痔核(いぼ痔)、痔瘻、裂肛とある中、痔核による出血で貧血となることがあります。
痔核は肛門と直腸の境界付近の粘膜がうっ血し、いぼ状に膨らんだものです。
肛門の内側にできる場合と外側にできる場合があり、排便時や運動時、歩行時などに出血します。症状として痛みや腫れ、かゆみなどが挙げられます。

まとめ

貧血には様々な原因があります。
女性では月経婦人科疾患による鉄欠乏性貧血が多くみられますが、男性は消化管が出血を起こしているケースなどが原因に考えられます。

ゆっくりと貧血が進む場合には大きな症状がみられないこともあり、貧血であることに気づきにくい場合もあります。
貧血の裏に重大な病気が隠れている場合もあるので、体のだるさなど貧血の他にどういった症状が出ているか注意し、気になるときは病院を受診してみましょう。