女性20代で11.6%、30代で14.3%。何の数字か知っていますか?
これは、運動する習慣のある人の割合です(厚生労働省 平成29年「国民健康・栄養調査」より)。全年齢で見ると男性は35.9%、女性は28.6%です。数値を引き上げているのは60~70代より上の高齢者で、20~50代では男女いずれも3割を切っています。
この記事を読んでいる方は、日頃から運動する習慣はありますか?今のところ特に問題を感じていないという方でも、現在の運動不足や肥満が中高年以降のさまざまな健康リスクにつながる可能性があります。
運動不足・肥満と関連する6つの病気
運動不足や、運動不足を原因のひとつとする肥満は、多くの病気の引き金となります。
具体的には、次のような病気が生活習慣病と大きく関わっているとされています。
運動不足・肥満が、糖尿病や高血圧などを引き起こすことは多くの方がご存知のことでしょう。これらの病気はサイレントキラーとも呼ばれ、初期は自覚症状がほとんどありません。しかし何年も未治療のまま放置することで、合併症によるQOL(生活の質)の低下や、心血管疾患による突然死を引き起こします。
また、意外に思われる方もいるかもしれませんが、運動習慣がリスクを低下させる大腸がんや肥満がリスクを上昇させる乳がんなど、運動習慣・肥満はがんとも関係しています。がんの予防のためには、太りすぎ痩せすぎを避けて適正体重を保つことが推奨されています。
運動習慣で予防する4つの病気・けが
一方で、先にあげた糖尿病や高血圧、がんなどの病気が予防できることはもちろん、次のような病気・怪我の予防にも運動習慣が役立つと考えられています。
骨粗鬆症
骨粗鬆症は骨が弱くなることで骨折のリスクが上がる病気で、女性に多い(骨粗鬆症ガイドラインより)傾向があります。診断において重要な指標のひとつである骨密度(骨の強度)は、20歳前後にピークを迎え、その後は徐々に低下していくのが一般的です。予防のためには食生活などに加え、ウォーキングや下半身の筋力トレーニングなど、骨に物理的な刺激が加わる運動が推奨されています。
転倒・骨折
骨粗鬆症や転倒による骨折は、高齢期の寝たきりの原因となります。老化による筋力・バランス力などの運動能力低下も、転倒の危険性を高めます。これらの能力を維持するためにも、日頃の運動習慣が欠かせません。
認知症
最近では、認知症(アルツハイマー型認知症)の原因となる脳の変化が、発症の数十年前から始まっていることを示す研究もあります(日本医療研究開発機構より)。認知症や認知症予備軍である軽度認知障害(MCI)の予防には、有酸素運動の有効性が期待されています。
うつ病
自殺は20~30代で多い死因ですが、うつ病はその自殺を誘引する病気でもあります。不安感やふさいだ気分の改善に有酸素運動が効果的であるという研究が示すように、運動はうつ病の予防・改善としても期待されています。
忙しくて時間がない…効率よく運動したい方へ
運動習慣が大事だということはわかっていても、運動のための時間をとることが難しい方も多いでしょう。そこで知っておきたいのが、基礎代謝、体脂肪率、メッツ(運動強度)といった指標です。
できるだけ効率よく運動したいという方は、まずはどんな運動をどの程度やるべきなのか、自身の状態を把握しましょう。
◆基礎代謝につて
◆体脂肪について
◆メッツ(運動強度)について
遅すぎない?少なすぎない?運動を始めることに踏み切れない方へ
運動はもちろん大事だと思うけれど、運動量が少なすぎて効果があるのかわからない…だいぶ高齢だから今さらはじめても…運動を始めることにもうひとつ踏み切れない方もご安心ください。
ちょっとした運動でも、あるいは高齢になってからでも、「今日から」運動することでメリットがあります。
◆少ない運動量でも、積み重ねを
◆高齢でも、無理なく体を動かそう
運動と事故にまつわる最新トピック。運動を長く楽しみたい方へ
せっかくスタートした運動習慣も、長く継続してこそ価値があります。多くのスポーツ選手の不意の事故による怪我に見られるように、運動にはどうしても故障が伴います。しかし、知っていることで防げるものもたくさんあります。
スポーツ選手ではない一般の方が、日常の中に運動習慣を取り入れる場面では、医師や専門スタッフの指示に従いながら行うことが重要ですが、ここでは運動と事故に関する最新のトピックを紹介します。
最近では、コンタクトスポーツにおけるプロテクター(防具)や事故時の対応が見直されるようになっているようです。
◆スポーツ外傷
◆脳振盪
◆マウスガード
◆その他、スポーツで起こりうる症状
まとめ
運動を習慣的に行うことはあらゆる病気を遠ざけてくれます。肥満予防などでは食事療法を重視する方が多いようですが、筋力やバランス力などの体力の維持には、やはり運動が欠かせません。加齢による基礎代謝の低下や食べ過ぎの場合のリカバリーなど、食事だけではまかなえない部分も多々あります。
過ごしやすい気候の今こそ、今日から体を動かす習慣を始めませんか?